第9話 宴の準備を~漬物は踊る~ Ⅰ
ソーセージ君との作戦会議を終えた後
今日の自分の持ち場に移動して倉庫の掃除作業を行っていた。
何も考えずに無心に
掃き掃除をしていると心が研ぎ澄まされてくる。
単純作業はすると、頭の整理には効果的なのかもしれない。
同じ場所で掃き掃除に飽きたソーセージ君が
話しかける。
「おい、直ぐに食堂に行くんじゃないのかよ」
ソーセージ君がが聞いてくる。
「 ああ・・・」
生返事をする。
そのとおり。食堂には必ず行かなければならない。
確認する事が幾つか存在する。
ただまだ時間が早いすぎる。
何故なら、それは厨房で昼食の支度が始まっていないと全く意味がないのだ。
「おいおい、明後日には処刑されるのに随分余裕なんだな。ったく道具屋は」
特に様子が変わらない事にソーセージ君は呆れている。
「・・・いや、もう少しだ。慌てる必要はない。」
下を向いて掃き掃除を続ける。
「まあ、俺は助かるなら何でもいいけどな。」
ソーセージ君も掃き掃除を続ける。
どんな時でも
焦っても良い結果がでたことは一度もない。
経験則から導きだした答えがそれだった。
黙々と掃き掃除をしていて気になった事がある。
そう、漬物についてだ。
明らかに転生前の世界とは
扱いが違うということだ。
高級品とされているのは間違いないが
どの程度の価値で取引されているかを
確認して置かねばならない。
ソーセージ君に聞いて概要を確認しておくか。
「漬物はそんなに高価な物なのか?」
掃き掃除をしながら聞いてみる。
「ああ、高級な嗜好品として
普通の人間は殆ど食べる機会はないだろうな。
そうだな。価値で言えば、漬物壺一つで大人一人3ヶ月分の食料が買えるはずだぜ。
俺たち所内の人間が働いた労働賃の一部を使って、所長の馴染みの道具屋から
漬物を買い付けているって話だぜ。」
「かなりの高級品だな。その割には食堂なんかに置いてあったが?」
「まあ、漬物は食堂に置くものだからな。」
ん?どういうことだ。
「そういうものなのか・・・」
「ああ。良い環境で保存していないと食べれなくなるからな。」
「なるほど。。そうなのか」
どういう風に伝承されているのやら。
恐らく最初に保存方法を作った人間の保存方法を
何の疑問もなく今も信じて使っているのだろう。
昔でいうところの
砂糖や胡椒の扱いなんだろうか。
「交易には良く使われる品ってことなのか?」
「いやいや、そんなに漬物は採れないからな。お前本当に何にも知らないんだな。」
ソーセージ君は鼻で笑う。
「採れないのか。。。」
採れない?うーん良く分からないな。
昼食準備の時間を気にしながらも、ソーセージ君にさらに問うことを続ける。
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