第3話 いつでも準備をしておけ。それが重要なんだ。
囚人達の群れに付いて行くこと数分
集会所と思われる場所に到着する。
囚人達の喋り声で少しざわついてはいたが
刑務所の責任者らしき人間が入ってくると、
声音は徐々に静かになってきた。
屈強な体格に坊主頭にちょび髭
髭にはよく観ると、白髭も混ざっている。
囚人達を見渡し数秒目を瞑った。
暫くしてから軽く咳払いをして、周りに注意を促す。
「おはよう、諸君。今日は、まずは残念なお知らせからだ。」
野太い声で喋りだす。
「お前たちの先輩等が急遽、昨日処分されることになった。
中には、本来であれば来週出所し、再び新たな人生を再スタートする予定だった人間もいた。
そ・れ・が!!!急遽!!!!!
昨日刑執行される事になった。
本当に残念である……
何故か分かるかね、おい、そこのメガネのお前答えてみろ!」
メガネ君は思案し、窺う様に恐る恐る答える。
「喧嘩をしたとかですかね……」
「ふっははは!!!
残念、その場合は、その場で直ぐに処分される事になる。」
ええええええ、嘘でしょ。
そんなので処分されちゃうのかよ
なんちゅうところだ。
「他には!おい!そこの坊主、おまえ答えろ!」
坊主多いな。
「所員に反抗したとかですか……」
「うむ。惜しいな……ただその場合も当然処分の対象になる。」
ニヤリと口角が上がる。
突然の凄い笑顔になっている。
こえーよ。
一体今まで何をしてきたんだ。
しかし、直ぐに処分しちゃうな、こいつらは
「どうした!答えが出てこないかぁ! しょうがない、今回は特別に教えてやろう。」
息を吸い込み、目を見開いた。
「厨房に忍び込み!! 盗み食いをした!!!だ!!!」
声を張って囚人達を見渡す。
「貴様らも知っての通り我々の刑務所は、
地形の関係上食材調達が難しい場所にある。
よって食べ物については平等に分配する必要があるのだ。
そのルールを破る者は、厳しく取り締まわれる!例外は一切認められない!
分かっているはずだな!!
今後も続く様であれば、直ぐ様処分していくので、覚悟しておけ!!!」
囚人達を見渡し睨みつける。
まあ、分からないでもないけどね。
食べ物は重要な物資……
それをコントロールできないと刑務所自体が成り立たなくなる。
うん、そうだな
そうだな……
うん、ん
んんん???
これはまさか
心臓の鼓動が速くなる。
そして
急に腹が痛くなる!
ううう……
呼吸も速くなる。
腹巻きを擦る。
ま、まさかこの腹巻きもまずいのでは無いのか……
いや、まずいのでは……
このままだと3日も持たず処分されてしまう。
何とかしなければ!
後でしれっと、ゴミ箱にでも捨てておくか。
誰にも見つからない場所で処分する必要がある。
できれば、大勢が使う場所がベストだ。
どうするか今後の方針を思案していると前の人間がぽつりと呟く。
「なんか漬物臭くないか……」
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