《もののあわれ》を偲ぶらば

舞い散る言の葉に遊びて
静に移り変わる叙景を眺むれば こころ楽しぶ
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物語を形造る美しき言葉の群にうっとりと身を委ね、没頭して読み耽っておりました。ひとつひとつの話は短いですが、奥行きが深く、時には恐ろしいほどの没入感をもたらしてくれます。人の業を思わせる薄暗い物語の数々ですが、その背景となる万象は息を呑むほどに麗しい。月はさめざめと濡れた紅に輝き、砂浜からは貝殻を砕いたような潮騒がありありと鼓膜をかすめ、兎逐いし野の草いきれはまるで肺を侵して噎せかえるよう。

これらの言の葉の麗しきを。情趣に満ちた物語を。
古き良き文語を愛する皆々様に是非とも読んで頂きたく。
拙いながら、感想を綴った所存です。