悪辣の壁を撃つ
アタエの発動。
A-03-I『ピースメーカー』
拳銃を召喚する。
アタエの手に旧式の銃が握られる。6発の弾が込められたリボルバー。古い銃なので確実に当てるのは難しいが、威力は普通の銃と同等であり、当然それなりに脅威となりうる。
一方、ヒメカの方はアタエが銃を召喚するのと同時に後方へと下がっていた。アタエは狙いをつけたが、動く的に当てるのは難しいと判断して待つ。
初手で逃げを選択したヒメカだったが、やがて壁に移動を阻まれた。アタエが待っていたのはその瞬間だった。
アタエの発動。
H-25-F『デュラハン』
頭部を破壊不能状態にし、胴体から分離する。
デュラハンは発動時に本体を頭部と胴体のどちらかに設定出来る。アタエが今回設定したのは頭部であり、それは次の能力を発動する為の布石でもある。
アタエの発動。
C-23-M『ベクトル』
対象の物と同じ方向、同じ速さで移動する。
銃声が響くと同時に、アタエの頭部がヒメカに向かって凄まじいスピードで放たれた。『ベクトル』により銃弾と同期しており、その速度は音速を超え、硬さは無敵であるがゆえに無限。それは当たれば即死に繋がる事を意味していた。
だが、壁につくと同時に能力を発動させていたのはアタエだけではなくヒメカも同様だった。
ヒメカの発動。
C-29-M『ウォールダイブ』
壁から壁へと瞬間移動する。
壁に半身が潜ると同時に、アタエの頭部が壁に命中する。凄まじい衝撃音が響いたが、ヒメカにダメージはない。壁に潜れば出て来るのも壁からであり、アタエは撃鉄を起こしつつヒメカの姿を探そうとする。その時、違和感に気づく。
ヒメカの発動
H-06-V『後退却下』
生物の眼を視界に捉えると、対象は後退出来なくなる。
基本的には相手を後ろに下がらせない能力であるが、向きを変える事自体も制限する効果がある。これにより、後ろはおろか横すら向けない。
タイムリミットもある。ヒメカは『ウォールダイブ』が発動する直前、もう1つの能力を仕掛けていた。
ヒメカの発動。
A-29-O『トーチャー』
対戦相手の身体の部位2つを指定し、15秒後にどちらかを破壊する。
指定した部位は右腕と左腕。15秒後にはどちらかが破壊される。
『後退却下』は通常であれば、それはヒメカの姿を完全に見失った事を意味するが、アタエには手、いや頭が残されていた。
アタエは一直線に自身の頭を拾いに行く。それを拾って手で向きを変えれば、アタエが戦闘エリア内のどこにいても確認出来るからだ。
アタエの胴体が頭部を拾い上げ、回転させた。後方へ移動していたヒメカを確認すると、再度狙いをつける。『ウォールダイブ』のインターバルは15秒あり、2度めの回避は間に合いそうにない。
こうなれば、ヒメカにとって頼みの綱は『トーチャー』の効果発動であるが、アタエはそれにも解答を用意した。銃弾を1発使い、左腕を破壊。手としての機能は停止したが、頭部で噛み付けば視界は確保出来る。こうして、ヒメカの『後退却下』は攻略された。
ヒメカに残された選択肢は2つ。『ウォールダイブ』で逃げた先で死ぬか、逃げずに死ぬか。どちらかだった。
決着。
アタエの勝利。
参加メンター
ヒメカ 百足陣三郎様
アタエ 滝杉こげお様
感想
アタエが強い。『ピースメーカー』と『ベクトル』の組み合わせは以前にも『鉄人』と組むことで披露されましたが、やはり高火力かつ弾数も6発あってなかなかすきが無いですね。ヒメカも今回初出の能力である『ウォールダイブ』を上手く活用していたとは思うんですが、いかんせんインターバル中の頼みの綱である『後退却下』を攻略されるときつかったですね。そんな相性差もあってヒメカにとってはかなり厳しい戦いだったでしょう。
ご参加ありがとうございました。またよろしくお願いします。
ちょっと関係ない話ですが、明日あたりから新しく「クエスト」というのを始める予定です。「ランダムに選んだ9個の能力の中から3つを選んでその作戦をコメントで書いてもらう」というゲームです。詳細は追って別ページに書きますが、報酬もつくので良かったら参加してみてください。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます