忍び寄る幕切れ
ヒメカの発動。
H-32-V『異能恐怖症』
生物に対し「能力の発動を10回認識すると死亡する」という効果を付与する。
先手を取ったのはヒメカ。この能力により、アタエはこれより10個の能力が発動したのを認識した瞬間に敗北が確定する。眼に刻み込まれたカウントは「9」。
しかし、怯えて何もしなければ当然負ける事になる。アタエも動く。
アタエの発動。
A-10-R『チャージショット』
手の中でエネルギー弾を溜め、放出する。
後ろ手にエネルギーを溜め始める。残り8。
アタエの発動。
C-16-G『用心棒』
身体能力の強化された人間を召喚する。それが死亡した場合、発動者も死亡する。
屈強な男が現れ、アタエを庇うように姿勢を低くした。残り7。
戦闘態勢自体はこれで整った。アタエが自身のメンターから指示された基本戦略は、『用心棒』をメインの戦力にして『チャージショット』の時間を稼ぐ事。筋肉の塊のような男が相手では、生身のヒメカは分が悪い。
ヒメカの発動。
A-31-T『闘争紋様』
触れた生物の全身にタトゥーを入れて身体能力を強化する。
対象は自分自身。指示通り、身体の各部位にメンターを象徴する百足の図柄を浮かび上がらせる。
この能力により肉体が強化され、『用心棒』と対等に渡り合える。その上、アタエにかけた『異能恐怖症』もカウントを残り6に減らす。
アタエの召喚した『用心棒』が前進を開始する。『闘争紋様』はインターバルごとに発動出来る能力なので、後半になればなるほど強い。更にその度『異能恐怖症』もカウントを減らす事になるので、不利になっていく。
『用心棒』がヒメカの腕を掴んだ。ヒメカはその瞬間に振り払っての回し蹴りでカウンターを狙っていたが、アタエは反撃を読んでいた。
アタエの発動。
H-24-V『視線感染』
視界に捉えた対象の生物1体に「風邪」をひかせる。
ヒメカと同じくH-V系の能力。ただ見ただけで相手に悪影響を与える事が出来る。『視線感染』は『異能恐怖症』とは違い、発動したその瞬間から効果が発生する。残り5。
動きが露骨に鈍り、ヒメカの狙っていたカウンター攻撃が空を切った。そして大きくあいた懐に、『用心棒』の拳が突き刺さる。あまりにも重い一撃にヒメカの腹部は沈み込み、苦しげな表情を浮かべる。
『視線感染』によりコンディションは最悪、腹部へのダメージは甚大なヒメカと、まだ一撃も喰らっていないアタエ本体と『用心棒』。もうすぐ試合開始から30秒が経過する。2度目の『闘争紋様』が発動する前に勝負を決めようと、アタエが指示を出した。
『用心棒』は指示に忠実に従い、弱ったヒメカの身体を拘束する。脇から手を入れて羽交い絞めにして、うなだれるヒメカをアタエに向ける。
そしてアタエは30秒分溜めた『チャージショット』を、ヒメカに向かって放った。
ヒメカに命中。車に激突された程度の威力がある『チャージショット』。これにより勝負は決着したかに見えた。だが、
ヒメカの発動。
C-24-B『金継』
自身の負った傷を治し、身体能力を強化する。
全身の骨が砕けた次の瞬間にはもう再生していた。ヒメカの身体は百足のタトゥーと、所々にちりばめられた黄金によってもはや異形と呼んでも良い程に変貌していた。そして『異能恐怖症』のカウントは4になる。
勝負がまだ続く事を察し、アタエは『チャージショット』を再度溜め始める。残り3。
更に、ヒメカの『闘争紋様』もインターバルをあける。残り2。
『闘争紋様』+『金継』の重ね強化により、『視線感染』を受けた状態でも対等に『用心棒』と渡り合うヒメカ。しばらくは打撃戦が続いたが、徐々に『用心棒』側が押されてくる。本来ならば、アタエは『チャージショット』を援護射撃的に使う事により『用心棒』の動きをサポートするつもりだったが、『異能恐怖症』がそれの邪魔をする。
更に30秒が経過し、ダメージを受けすぎた『用心棒』をアタエが下げさせる。それと同時にヒメカは再度『闘争紋様』。カウントはいよいよ残り1。
半分観念したようにアタエが目を瞑った。能力の発動を認識する訳にはいかない、苦肉の策だった。
一方でヒメカは自身の身体を見て、メンターの事を思い出していた。『用心棒』を殴る度にあえて百足の柄の部分を当てると妙な満足感があった。それが百足を痛めつけている形になっているからなのか、それとも百足と共に戦っている感じがするからなのかは、風邪で意識のぼんやりした今のヒメカには分からなかった。
決着。
ヒメカの勝利。
参加メンター様
ヒメカ(クエスト:06) 百足陣三郎様 次元結晶+2(所持数:10)
アタエ(クエスト:04) 坤 艮様 次元結晶+1(所持数:11)
感想
今回はちょっとロールプレイを普段よりは大目に拾ってみましたが、どうだったでしょう。逆転要素とか『異能恐怖症』のカウントダウンとか結構緊張感のある試合になったかなと思います。
アタエ側もかなり理にかなった戦略で良かったと思うんですが、『チャージショット』の連打を抑えられたのがちょっと痛かったですね。
ご参加ありがとうございました。またよろしくお願いします。
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