春風に立つ

短篇連作集です。
愛を見失ったひとと、いなくなってしまったこいびとを探すひとのはなし。
（※がついている作品には性描写があります。）

「Replica」（2018.4.20）
馬鹿みたいだなとおもったその日から、ふたりの世界は偽物だった。

「Harmonia」（2018.5.13）※
いいや、すべてがすきだったのだ。どうしようもないくらいに。
この手から滑り落ちた体温はあまりにも温かかった。

「幕間Ⅰ　ひかりを灯す」（2018.10.6）
あなたのことを考えると、この土地は、もうずっと海になってしまえばよかった。あなたがいつでも泣くことができるように。あなたが金魚になって泣くことを忘れられるように。