その身に宿す毒に棘、傷つく者は果たしていずれや

中学2年の春。目の前で幼馴染が友人に行った愛の告白。
早春を告げる梅の如く先走ったかのような周囲の流れに置いてゆかれる主人公の採った選択とは――

誰もが通過する、大人でもあり子供でもあり、大人であることを求められ、子供であることを求められるはざまのとき。
その揺れ幅の差はひとりひとりでおおきく違い、彼の描く波紋は彼女の描く波紋とは速度も大きさも異なってしまう。

良く知っていたはずの友人たちが発する様々な波紋。その波に共鳴できるまでになる時間はおろか、消化する時間すら与えられずに奏でられてしまう、くるおしく、不器用で、それでいてどこか美しい模様を思わせるお話でした。

あのころの痛々しさを思い出したい方はぜひ。

そして、このお話の美しいことばに感じ入った方は、是非、作者様の他のお話にも目を通して下さい。ふと気づくでしょう。綺麗な言葉に彩られた早梅だとかレーズンだとかお前いいかげんにしろよ、という思いに。


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