2-2. 困った時にすることは
ここが異世界だとするならば。
帰る方法を見つけないと。
電車に乗って帰るってわけにも、いかないだろうからなぁ……。
どうしよう……?
この世界の住人から、何かヒントをもらう感じでいいのかな……。
次に人を見かけたら、話しかけてみよう。
ちょうど向こうから、人のよさそうなおばちゃんが、歩いてきてる。
買い物用のカートをごろごろさせた、天然パーマのおばちゃんだ。
あの……。
だめだ。
なんか、声をかける勇気がでない。
「あんた、どこから来たの?」
とか言われたら、なんて答えたらいいんだ?
そんなところで悩んで、声をかけられず、何人も通行人が過ぎていく。
……。
交番的なところに行けばいいかな……?
でも、絶対に、住所を聞かれるよな……。
いったん、怪しいと思われたら、警察は怖いからなぁ……。
こまった俺は、とりあえず、寝逃げすることにした。
何かあったら、『果報は寝て待て』。
俺はこれまで、そうやって生きてきた。
ちょうど、歩いているうちに、小さな公園を見つけたので、そこのベンチにごろーんと横になった。
最近の都心だと、路上生活者が住み着かないように、ベンチは座席一人分ずつに区切られている。肘掛けとか、出っ張りとかで。
無理に寝ようとしても、痛くて無理なようになっている。
この異世界(?)の公園は、そんな異邦人アンフレンドリーな仕様にはなっていなかった。
程よいぽかぽか具合。いい天気。
子供の嬌声、車の通過する音。程よい生活音。
俺の意識は、自然とまどろんでいった……。
ああ、あったかい……。
心地良い……。
このまま寝ていたい……。
そんな幸せを感じていた。
――突然の、女性の悲鳴が、俺の鼓膜をぶっ叩くまでは。
寝る子は育つし役に立つ にぽっくめいきんぐ @nipockmaking
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