花と獣
糸(水守糸子)
序 常盤の地
屑しかないゆえ、屑ノ原という。
「ばばさま、ばばさま」
濡れ縁で刀を研いでいると、頬を林檎色に染めた子どもが髪に雪片をくっつけて駆けてくる。
「ばばさま、とってきた」
得意げに胸を張った風也は、小さな腕いっぱいに抱えた実を華雨の膝に落とした。甘酸っぱい芳香がくゆる。懐かしい橘のかおりだ。
華雨は目を細め、橙色をしたその実を今、手に取る。
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