詩的な作品ですが、終末SFにも通じる世界観なので、深読みにも耐えられます。人と人の絡み合う糸に思いを巡らせて、ドラマとして楽しむのも良し、静謐なSF/ファンタジーとして作品世界を想像するのも良いでしょう。多くを語らず、主人公たちの周辺だけを描くことで、スッキリとした短編にまとまっています。全編を通底して流れるハミングの響きは、物悲しいのか、優しいのか。決して爽快な話ではないのですが、読後の印象は暗くありません。ブラッドベリのような、叙情SFの短編が好きな方にオススメしたいです。雰囲気は抜群です。
独特の読後感の残るお話です。ほんのりと感じさせる程度に設定や関係性が見えてきて。でも、そこに描かれているのは”想う心”短いながらもすっと入り込んでくる、そんなお話です。
君がいるから、今日もまた起きよう。世界は静かに、消えていくけれど。
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