第8話

[9月13日 薄曇り

体重の減りがとめられない。…まさか…]



戸棚の奥から、やっとお目当てのものを見つけだし、僕は大きな溜め息をついた。

「やっと見つけたよ、これ。」

目の前にかざしても、ハミングを続ける君の視線は、素通りしてしまう。

深い青に染まった花瓶を見つめながら、僕はつぶやいた。

「『宇宙みたい』だって、君は言っていたよね…」

君がよろけながらも僕のマンションの玄関に立った時から、僕は密かに決めていたのかもしれない。

君の骨が帰ってきたら、これに入れてあげよう、と。

高温殺菌でホロホロともろくなった骨は、この中で星のように光るはずだから。

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