第6話
[8月11日 晴れ
大きな変化無し。体重の減りが気になる。久しぶりに街に買い物に行った。]
「いやぁ、人間て強いねぇ。」
紙袋をがさがさとテーブルに置きながら、僕は言った。
「お客なんて少なくなってんだろうに、ウインドウの中はしっかり夏だよ。それも競うようなハデなディスプレイばっかり。たくましいよねぇ。」
そうして、荷物の中から小さなものを取り出す。下世話に見えるほどの真っ赤な口紅。
「君は少し血の気が薄いから、あの生命力を分けてもらうといい。」
僕のカラ元気と街にあふれるむなしい鮮やかさは、君の唇の底に沈んで、丁度いい紅に落ち着いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます