ひとは貴方を天使だと言う。けれど、天は貴方を見放したかのようだ。

本当は、もっとずっと以前に星三つ以上の評価を心に決めていました。
先に進めば進むほど、釘づけになる作品です。

短命で、歴史の渦に翻弄された美貌の貴公子の物語。

一言で語れば、陳腐な表現だけれど。

読み進めていくごとに、この薄幸の殿下が愛おしくなり、なんとか彼が報われて幸福なときを過ごすことがないかと、祈るような気持ちで文字を追っています。

ああ、こんなに素敵で魅力的な人物なのに。
出会った誰もが心惹かれて、追いかけてしまうのに、彼が心底から願っている人物からの親愛だけは、得られるのが容易でない。
私が、お傍に上がれたら……(妄想没入)。

随所に散りばめられた上質な雑学が実は重要な伏線となっているとか、架空の人物と思われた登場人物が史実の人物だとか、もう、油断なりません。
欧州王家は血脈が複雑で同名が多く、非常に記憶力を試されるのですが、作者さまは巧みに個性を描いてくださりつつ判りやすい解説をも加えてくださっていて、時間を忘れて読み耽ることうけあいです。

尊敬する実在の音楽家たちも生き生きと登場し、(途中◯◯は仕方ない)また不思議な存在も現れ、1話も目が離せません。

更新が待ち遠しい……。

まだ、レビューが書き足りない上に完結までは暫くあるようなので、また追加して思いの丈を書きこむ気満々でいます。

もっと多くの方に読んでいただきたい。

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