ゾンビになる母、その最後の瞬間までに……

大切な人がゾンビになる。
ゾンビ物ならば定番のシチュエーションではないかと思う。
しかし、ゾンビウィルスに感染してしまい、次第に日常生活に支障をきたしてきた母とどうやってこれから生きていけばいいのか模索する主人公というのは珍しい。
今作はゾンビでコーティングした社会福祉小説という見解が一般的だと思うが、同時に新たなゾンビ物を開拓した作品でもあるだろう。
ここからもしかしたらゾンビ小説に新たな展開が起きるかもしれない……そんな予感すら覚えさせる今作、小説の概要に作者が「ポストゾンビSF作品」と記しているのも頷ける内容だ。

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