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概要
異国と記憶の間には絶えず河が流れている
「私」は父親の勧めで土木建築学科を卒業した。しかし父の意に反しその後、異国の金融街で働いていた。私は河川を目にすると川の水量を計算する癖があった。この水量を元に地球の全水量から、目の前に横たわる河川の割合を暗算するのだ。その割合は分母が十桁の分数、限りなくゼロに近い値になる。私は肉体移動ではたどり着けない、一分の一の辺境の川を知っていた。身体に潜む微かな感覚と、視界の点を結びつけることでたどり着けるその川は、境界に位置していた。「木造校舎」、「死に節」、「アシダカグモ」、「綿雪」、「映画監督」、「茶トラの猫」との出会いを経て、その川へたどり着く。そこは「私」の最深部で、点を結ぶ糸はか細く伸び切り、張力は限界に感じられた。更なる深淵へ、肉体に宿る光景は私を呼んでいた。南国の匂いに包まれた。私
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