第8話 エピローグ

 二時間後。リベルタのベージェ空港

 滑走路に接近するTフォースのジェット推進型オスプレイ。オスプレイは駐機場に着陸。その後に国連軍の輸送機が接近してくる。米軍のC-5輸送機に匹敵するほどの大きさだ。それが一〇機やってくる。

 ターミナルビルに入ってくる日本人。

 国連軍の将校と兵士達も入ってきた。

 「Tフォースの葛城博長官ですね。カーボベルデフランス駐留軍の責任者であるアルミンです」

 「サルイン国防省のゲイリーです」

 フランス軍とサルイン軍将校は名乗った。

 「本来は私達が対処しなければならないのに申し訳なかった」

 葛城長官はあやまった。

 「リベルタ軍は降伏しました。雇われていた傭兵は逃亡。しかし他国の国境ゲートには手配書が出回っていますので国外に逃亡は難しいと思います」

 ゲイリーは笑みを浮かべる。

 「ダーラムの野望を阻止したのは誰かね?」

 葛城はたずねた。

 「あちらに」

 アルミンは案内した。

 ロビーに近づく葛城とアルミン。

 「香川保安官、海江田保安官よくやった」

 葛城は肩をたたいた。

 「俺達は任務をこなしただけです」

 香川はフラムやホセ、ツアーロ達を見ながら言う。

 「後で報告書は提出します」

 ホセがわりこむ。

 「リベルタはこの後はどうなりますか?」

 ツアーロが口をはさむ。

 「PKO部隊の監視下にしばらく置かれる。研究所と工場を更地にしたら引き上げる。その時にはリベルタに暫定政権が出来るだろう。ダーラムの側近のドルグとアミルはオランダのハーグの裁判所に拘留される事になる」

 葛城は答えた。

 「政権が安定すればいいですね」

 カルルが誰もいないカウンターを見ながら言う。

 空港もあまり使われてないのかゴミは散乱したまま、電光掲示板も割れたままだ。

 「サルインにもPKO部隊がしばらくいるだろう。物資も届く、難民も戻れるように支援をする。それとパンサーアイの本部がサルインに置かれる。フランス、サルイン、日本の支援でね」

 葛城は口を開いた。

 「え?」

 「パンサーアイメンバーはここにいるメンバーが選ばれる。召集指令が来たら本部に集まることになる」

 葛城は見回しながら言う。

 「本当!?」

 ボンゴやトゥグルは声をそろえる。

 うなづく葛城。

 破顔するホセ達。

 「私は?」

 リーがホセを押しのけた。

 「君は本来なら北朝鮮に強制送還だ。だが時空侵略者を見ているし重要な機密を知り尽くしている。我々の監視下におかれパンサーアイに配属になる。勝手な行動をして抜け出せば他国のスパイに始末されるだろう」

 葛城は真顔になる。

 黙ってしまうリー。

 「アナベル様。遅くなり申し訳なかった」

 頭を下げる葛城。

 「いいえ。お互い様よ。私達は自分の身を自分達で守っただけ。運がよかっただけ」

 アナベルは首を振った。

 「アナベル様!!」

 「アナベル」

 不意に聞き覚えのある声に振り向くアナベル。

 出入国ゲートに入ってくるフェデリコとメルル。そしてヴィドと自分の兄と姉。

 「お父様。お母様!!」

 アナベルは駆け出し抱きついた。

 ヴィドはハンカチを出して涙をぬぐう。

 「お姉様。お兄様。スイスの大学は?」

 アナベルがふと思い出す。

 確か兄のアンリと姉のイルマは留学してあと二年は帰ってこない予定だ。

 「勉強どころじゃないわよ」

 「でもよくやった」

 アンリとイルマは笑みを浮かべる。

 「アッシジ大統領は?」

 アナベルが聞いた。

 「地下牢に閉じ込められていたから閣僚達はセード司令官達が救出しました」

 ギルムが答えた。

 「それはよかった」

 エンリコがわりこむ。

 「次は復興させないとね。僕達も工事を手伝います」

 フィンが名乗り出る。

 「わかった。でもその前に解放記念日だ。国民と一緒に祝おう」

 フェデリコは笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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パンサーアイ 失敗国家の悪夢 ペンネーム梨圭 @natukaze12

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