第22話秋好む中宮6

「この間こういうことがありましたよ。雛遊びの時に薫様があまりにおもてになり


ますので匂宮様が腹を立てて姫雛をみんな放り投げました。みんな慌てて取り繕い


ましたが、匂宮さまはたいそう焼きもち焼きでらっしゃいます」





「孫とはいえそこはわしと全く似ておらんな」


「横笛も歌合せも和琴も薫様にはとても及びませぬが独楽、竹馬、蹴鞠はめっぽう


匂宮様はお上手でいらっしゃいます。そういうわけでやんちゃな宮様がいつも薫


様を意識して時には大きな焼きもちを焼かれるようです」





「薫のほうがわしに似ている?」


「ほほほ、すぐに姫にもてようとされるのは孫の匂宮様もおじいさま譲り、薫様の


まめで几帳面なところは源氏のお父様譲り。二人合わせて源氏の君?」





『薫がなんでわしに似ようわけはあるまいに』


と老いたる源氏は思いつつ、


「おなごを独り占めにしようとするのは全くわしの病癖じゃ」





「情熱的であられますよ匂宮様は」


「まめでなければ意味がない」


「それはおそらく夕霧様や薫様」


「融通きかぬ堅物じゃ」





老いたる源氏は薫様の話になるとなぜか不機嫌になられます。


そのことを秋好む中宮は子よりも孫かとお思いのようでした。

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