第31話 冥府2

「ぴゆーっ!」


大六天も空を舞ます。





妖怪によるすさまじい空中戦が始まります。


大六天の稲妻が走ります。まともに受けて白鬼はよろめきながら


大六天に電撃波を食らわせます。たじろぐ源氏魔王。





更なる白鬼剣が襲い掛かります。魔王は鋼鉄の腕かいなで


白剣を受け魔王剣を白鬼の胸に突き刺します。





「うふはははは!思い知ったか、柏木!」


「何のこれしき。むむむむむむむむ」


柏木白鬼は貫通した魔剣をぐぐぐっと引き抜きます。


傷口はみるみるふさがっていきます。





態勢を立て直し睨みあう二体の鬼。


白鬼柏木がふっと一回り大きくなります。


それに負けまいと魔王源氏が二回り大きくなります。





さらに白鬼が拡大します。ついに二体は天を覆うほどに


でかくなりました。とその時、天空に大声が響き渡りました。





「何をしておいでですか!お二人とも!」


それは優しくも美しい紫の上のお声でした。





二体の鬼はみるみる小さくなって紫の上の手のひらに


載るほど縮こまってしまいました。





紫の上は二人を元の大きさに戻されました。


二人は両手をついて紫の上にひれ伏しています。


紫の上は軽蔑のまなざしで二人を見下ろしています。





しかしその顔はよく見ると能面こおもてのようです。


「なぜに殿方はそのように争われになるのですか?」


神妙に二人はうなだれています。ふたりの


額からは汗のしずくがした垂れ落ちています。

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