ストーリー密度重量級!バトル描写を極めるとここまで到達する!

素晴らしいです。よくぞここまで書き上げた。心から賞賛を送りたいと思います。

物語はペルーの貧民街で両親を失ったひとりの日系人の孤児が日本の一人の総合格闘家によって拾われ、日本へと招かれるところから始まります

そして主人公の少年は類稀なる格闘センスを見い出され表のステージで、そして裏のステージで、素手で語り合う戦いの世界へと繰り出します

この物語が凄いのはその世界観の裾野の広さ

自分で小説を書く上で戦闘やバトルというものについて調べたことがある人ならば、そのバリエーションや流派や歴史や由来、古今東西のその種類の多さや奥行きの深さに圧倒されたことがあると思います

だから普通は自分の認識できるところの範囲内で手を打ちある程度のところで引き返すのです

つまり〝これ以上は私には描けない〟と諦めて……

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実際、小説におけるバトル描写は恐ろしく高難度です
必要とする知識が膨大になり、そこに前提となる世界観の上での文明程度や民族や風習なども絡んできます

さらには、体の動き、武器の取り回し、攻撃手段の駆け引き--それらはすべて【三次元の立体空間】の中で行われます

しかしながら小説とは本来1次元です。文章の始まりから終わりまで順を追って流れていきます

それにバトルというのは本来、小説で描く上では恐ろしく相性が悪いのです

だからこそ【書く人間のセンス】が明確に問われることになります

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物語のテーマとなっているのが【格闘技】

しかもスポーツ格闘技としての断片的なものではなく、我々現代社会の中で存在しうる、そして物語世界として許されうる【格闘バトルストーリー】として恐るべきほどの規模を有しています

ですが本作の作者は一切妥協していません。感服するくらいに

だからこそです。この作品は恐ろしく密度が濃いのです。おそらく当世のライトノベルに慣れきってしまっている人は面食らうかもしれません。

しかしです
昔から小説を読んでいた人にも
これから小説を志す人にも
是非読んでもらいたいのです

小説でここまで描けるという事実を

まずは最初の〝墓守〟の前後篇まで読んでみてください。そしてあなたは思うでしょう。

『この先に何が待っているんだろう?』と……

最後に一言

出版社の皆様へ。お願いだから書籍化してください!! 私はこれを紙の本で読んでみたいです!!

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