血塗られた、あまたの尾ひれと背ひれ。きみの指先の色。

桜の下には死体が埋まっている──梶井基次郎の短編小説の有名エピソードを引き合いに、読み手を深淵へと誘うホラー作品。

短い文字数の中に散りばめられた、生への執着と死への畏怖。
喰らふと云う欲望の根源を曝け出し、恐怖とは何かという根本を問う。

人は。
屍を埋めて業を作り、屍を積み上げて楼閣を建てる。

怪談が、怪談へと成り得るその行程を見たように思います。

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