戦って守れ! 国を、誇りを、未来を!

私は氷月あやのファンである。
狭くないカクヨムの中で、我も、という方は多くいらっしゃると思うが、私もファンである。
このレビューは、広いカクヨムの中にいらっしゃるだろう、「俺は違う」とおっしゃる方にお読みいただきたい。


氷月あや作品の魅力は多々あれど、二つに絞ってお伝えしよう。
一つは、確かな世界観。今一つは『熱さ』だ。

まず、確かな世界観。
氷月あやの頭の中には、恐ろしいほどの歴史の知識が詰まっている。
『飯テロ』本に掲出された『いけず』でもそうだが、その知識は作品全面に散りばめられている。
だから、知らない言葉、出来事に出会うことができる。それも、嫌味なく。
「矢」と書かずに「箭」と書く。城の防御に「皮簾」なる道具を使う。そんなこと、寡聞にして氷月あや作品でしか会ったことがない。

いま一つは、熱さ。
彼女が書く主人公は、いつも生きることに全ての情熱を捧げている。
行く道に悩み、越し方に悔いることはあれど、彼らは簡単に諦めたりしない。死のうなんて、これっぽっちも思っていない。
血で血を洗う戦場においても、それは揺らぐことはない。


これら二つが遺憾なく発揮された『守城のタクティクス』。この作品はヤバい。襄陽ヤバイ、まじヤバイ。
13世紀初頭、中国で本当に繰り広げられた戦いの氷月節、余すところなくご覧じろ。

第一話 https://kakuyomu.jp/works/1177354054884546369/episodes/1177354054884546385
実際に戦場に居た人が書いた日記の訓読文(氷月節) https://kakuyomu.jp/works/1177354054884171637

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