何でも手に入る楽園のような世界は、果たして『自由』なのか?

欲しいものは何でも無料で届けてくれる「天蔵」なる通販サービスで、働くことなく、またお金に困ることもなく、暮らせる世界。

そこで生活するヒロイン・律歌は、しかし持ち前の旺盛な好奇心で、その世界の仕組みを見極めたいと考え、北寺と共に行動するのですが――前半のスローライフパートで二人の距離感にヤキモキさせられたかと思えば、中盤からは予想だにしなかった怒涛の展開。

この世界に隠された秘密を知っていくにつれ、冒頭で見せた律歌の涙の意味も明らかになり、何とも苦しく切なく、いたたまれない気持ちになりました。

しかし、辛い記憶を取り戻して尚も『夢』のために立ち上がる律歌。

その強い意志と行動力に、『夢を叶えるためにはこれだけの覚悟がなくてはならない』という強烈なメッセージを受けました。

『夢』とは何なのか?
『幸せ』とは何なのか?
『自由』とは何なのか?

数多くのテーマがぎゅっと濃縮されておりますが、『夢を抱く者』の心に間違いなく熱を灯す、圧巻の作品です。

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