幽霊に恋するなんて、そんなことあると思いますか

幽霊が恋人なんて摩訶不思議なことですが、そんな不思議な体験を経て一組の男女が幸せをつかむ物語です。

主人公の女性は29歳で恋愛経験もあるものの、その度に傷ついてきた心の傷を癒せずにいます。そんな彼女に幽霊が恋人になってくれませんかと声をかける。そんな幻想的な出だしから物語は始まります。

そこからのあらすじは作者様の書かれている通りなのですが、二人の距離感と主人公琴葉ちゃんの気持ちがほぐれていく様子が、読んでいて幸せを感じます。相手が幽霊なのに、自分に触ることも出来ないのにキスをするのにドキドキしたり、手をつなごうと思っても繋げなかったり、微妙な心の動きが読み手の心をくすぐります。

さて幽霊との恋ですが、幽霊の彼、総一郎君がある日を境に消えてしまいます。琴葉ちゃんが幽霊に本当に恋をしていた感情、心の喪失、このあたりは読んでいても辛いところなのに、もっと辛い物語の波状攻撃がはじまるのです。

この終盤の波状攻撃はジャンル的に「武州作品」と名付けることにしましたけれど、いったいどうなるのか、最後に二人は幸せになるのか、ぜひ最後をご自身で読んでみて下さい。きっと幸せな気持ちになれると思います。

(今月見つけたハッピーエンド1選/文=ハッピーエンド教・教主)

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