美しき《余韻》の残る……

風光明媚な四季の風景が目蓋に浮かぶ 繊細な文章にまずは惹かれ、そこから鬼と巫女の、決して境界を踏まずに真心を通わせる様に魅了されて、あっという間に読み終えておりました。

ふたりのあいだには、常に川がある。
それは、闇の者と光の者を分かつ境界であり、人間と人外の溝でもあります。ふたりは唯の一度も触れあうことさえなく、静かに、されど確かに想いを通わせます。
最後は悲しくもありますが、ふたりの想いの《すべて》ではなくとも、ひとかたなりと報われたようで、ほおと感嘆をこぼさずにはいられませんでした。

読了後にもしばらくは余韻が残る、ほんとうに素晴らしい物語です。
現在投稿されているのはこの小説だけですが、是非とも他の話も読んでみたいと思いました。