エピローグ
次にぼくが目を覚ましたのは、病院のベッドの上だった。
ぼくは燃え盛る廃屋から奇跡的に助けられたらしい。なんでもまだ近くにいたシュウくんたちが、火事に気付いて慌てて助けを呼んだのだとか。
病院で目を覚ましたぼくに、両親は泣いて謝っていた。もっとぼくに向き合っていればこんなことにはならなかったとしきりに言っていた。そんなことはないとぼくは思うのだけれど。
退院したぼくは、また学校に通うことになった。シュウくんたちはあまりぼくをいじめなくなっていた。多分、火事の一件が堪えたのだと思う。
今でも中学生のお姉さんたちが通るたびに、目で追ってしまう。だけどそこにシノさんはいない。あんなにうつくしいひとはどこにもいない。
裏山が崩されていく。火事で焼けた廃屋が跡形もなくなっていく。
あのとき出会ったうつくしいひとのことを、ぼくだけは知っている。
(了)
蝋燭心中 黄鱗きいろ @cradleofdragon
サポーター
新しいサポーター
- 六畳のえるライト文芸やコメディが大好きな作家。ビジネスマンの悲哀や自己肯定感の低さを自虐したツイートは共感者多数。 ことのは文庫やスターツ出版文庫にて出版しています。 カクヨム内のコンテスト受賞にて、短編集に載せて頂きました ⇒ https://goo.gl/7Edhjc 年間200合の地酒を飲む日本酒党(https://goo.gl/vYTbAX)。 ステキな設定やお洒落な文章はとんと書けませんが、ストレスフリーで読めて適度にクスッとできる作品はお家芸です。 Twitter ⇒ リンクからどうぞ ツイキャス過去放送 ⇒ http://twitcasting.tv/romans_et_cafe/show/ 哀愁漂う呟き&マシンガントークに共感する方続出です。嘘だよ嘘。
- @matsuzaki-y
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます