父には、必ず勝たねばならぬ戦いがあるのだ。

男やもめの覚平は、ある失態のため左遷され、
武士とは名ばかりの卑賎の職務をこなす日々。
貧しい暮らしの中で唯一の希望は、娘の千歳。
幼い千歳を守り育てるために覚平の命はある。

閉塞感はあるものの穏やかとも言えそうな日々は、
市中で刀を打ち振るう凶徒を斬ったことで急変する。
因縁の相手と戦って勝たねばならなくなった覚平は
かつて免許皆伝を受けた剣の冴えを思い出せるのか。

本格派ハードボイルド時代小説。
緊迫した剣劇シーンには風格が漂う。
現代ものでは描き難い「人情」が胸を打つ。
時代小説が初めての人にもおすすめしたい。

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