父が幼き子のために決めた覚悟をご覧あれ!

主人公、覚平は橋の袂で、通行人が通行税五文を払うのをただ見ていることだった。五年もの月日の間、目立った事件も無く平穏に過ごしていた覚平。一人娘の千歳と共に二人で暮らしていた覚平はある日、一つの騒動をきっかけに大きな事件に巻き込まれることとなる。

口下手で不器用な侍、覚平。「万里眼」と呼ばれる目の良さが、作中のストーリーにしっかりと生きている。覚平には特別な力はないし、メインとなるのは剣術のみ。読み進めていくにつれてどんどん覚平に惹き込まれていく。そんな中編時代小説。

文体のわりにはとても読みやすく、時代小説好きな方はもちろんだが、これまで時代小説を読まれたことのない方でもすぐにその世界観に入り込める。これまで時代小説を読まずにいた方々、まずこの作品を読んでみてください。時代小説の入門として、この作品をオススメしたい。そんな一作です。

その他のおすすめレビュー

暁烏雫月さんの他のおすすめレビュー59