汽車の音が聞こえる、歌のような物語

おおお……! とまず注目したのは、とても心地よいリズム感で文章が刻まれていることでした。

最初から最後まで途切れないこのリズムが、規則正しく線路を走る汽車の振動を想起させて、まるで自分が彼女たちと同じ車両の席についていて、こっそり斜め後ろから二人の会話を盗み聞きさせてもらっているような気持ちになりました。

とても臨場感のある作品です。

明瞭でありながら丁寧な描写で、非常に解像度高く世界が立ち現れるのに、どこか夢の中のように幻想的なのは、旅の半ばを切り取った車両の中の物語だからでしょうね。

青年と少女が別れる終わり方、切なくも爽やかで、読んでよかった!!!と心底思える短編でした!!