丁寧な描写が、パンデミックとネットゲームのリンクを"拡散"させる
- ★★★ Excellent!!!
パニック作品で欠かせないのは臨場感やリアリティであり、文章だけで「いまなにが起きているのか」を伝えるのはそう簡単なことではない。
さらに、それが“現実には繋がりがないもの”を含んでいた場合には、書き手にとっての難易度はさらに高まる。
頭部の爆発した遺体、広がっていく咳、患者の口から出てくる砂粒のようななにか、空港の閉鎖、パンデミック、ネットゲーム…
この作品では、不穏なキーワードが、丁寧に書きこまれた膨大なキャラクターたちの描写や近未来の日本の状況を通じて、じわじわと読者の心にもいやな“根”を張っていく。
そして次のエピソードでなにが起こるのか、何が起きているのかを確かめずにはいられなくなるのだ。
序盤だけでもう面白い。
ぼくはもう"感染"しました。