生きた証
「俺は、何百人に一人って基準すら分からない奇病で自我を失っちまうらしい」
「そうなったらソレはもう『俺』じゃねえ。死んだも同然だ。だから、俺が生きた証として本を書いているんだ」
『何を書いてるんです?』
わたしは聞いた。
「みるか?ほぼ完成してるからよ」
渡された本の題名は『完全犯罪集』。
どれもこれも犯人が捕まってない殺人事件ばかりだ。
数年前、世間を騒がせた事件もある。
――完全犯罪集?おかしいな、殺人事件の時効はなくなったはずなんだけど。
逮捕される恐れがあるんだから、完全犯罪とは呼べないんじゃあ?
パラパラとめくって最後のページにいくと、なにも書いていないページがあった。
――ここにはなにを書くのだろう。最近犯人が捕まってない事件なんてあっただろうか?
「そのページを今から書くんだよ」
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