どっちがほしいですか

私がいるのは一面まっしろな部屋だった。


『私の手には小さな箱が、目の前には大きな箱があります。どちらかに、100万円が入っています。あなたに片方あげますよ』


部屋には黒く四角いスピーカーだけがおいてあり、そこから声がしていた。


状況が飲み込めない。なにか裏がありそうだ。


「100万円の箱を引けなかったら殺されるとかじゃないだろうな」


『そんなことで殺しませんよ。予告なしに殺すとか理不尽すぎませんか?』


「100万円じゃない方の箱には何が入っている?」


『秘密です。選ばれなかった箱は捨てるので、100万円の箱を当てたら永遠に秘密ですね』


さて、外れても殺されないと確約されたわけだがどちらの箱にするか。


…………小さな箱にしよう。こういうのは小さい方がいいと相場が決まっている。


『小さな箱ですね?ええと、中身は……おお、100万円です!おめでとうございます!』


『ええと、大きな箱は廃棄処分っと。いやあ、内心100万円捨てるのはもったいないと思ってたんですよー』

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