SFかな? ホラーかな? とんでもない理論が炸裂する最高の皮肉。

タイムトラベルに関する全く新しい理論を、浦島太郎の子孫が実験で証明するという短編。

時間旅行モノはH・G・ウェルズ著の古典SF『タイム・マシン』を端緒とした一大人気ジャンルとなり、今でも名作が続々と制作されていますね。科学的なアプローチだけでなく、時を超えることで生じる歴史改変の重みもあり、面白いものが多いです。

対して、本作は「珍説」とも言える、時間旅行のトンデモ概念を独自にぶち上げています。
その信憑性はともかく(そもそも時間旅行自体が現実にはあり得ないから過去のあらゆる名作も信憑性なんかないのですが)、その珍説を突き詰めたらどうなっちゃうの!? という引きの強さ、読み手を飽きさせないリーダビリティに感心しました。

作中でどんなタイムトラベル理論を謳ったのか、理論の正しさは証明できたのか、実験は成功するのか…結末のほろ苦さ、皮肉な幕引きにも注目です。

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