タイムトラベルあるいはひとつの妄執を語る「奇妙な味」!

浦島太郎の子孫である博士が打ち立てた「タイムトラベル理論」、それを実証する助手として選ばれた亀宮ほのかは、博士と共に発表の舞台に立つ。

「奇妙な味」と言えばかの江戸川乱歩さんの造語で、ひとつのジャンルじゃくくれない、不思議で割り切れない後味を残す物語を指すもの。
そしてこの作品は、その奇妙な味が書かれたものなのです。

本編の特徴ですが、浦島博士のタイムトラベル理論の極端さ、ほのかさんを襲う理不尽さ、その果てに来たる割り切れないエンディング――
各部を見届けた後に初めて、それらを繋ぐ構成の妙を味わわされる点ですね。
さらに、構造が理解できるとまたわかっちゃうんです。猛烈な後味の悪さに込められた必然性と説得力を! 

ショートストーリーとは思えないほどの厚みがあって、ほんと、小憎らしいくらいうまいです!
この割り切れなさの極上、ぜひみなさまにも味わっていただきたいのでオススメさせていただきますー。

(スタイリッシュにフルスイング!尖ってるドラマ4選/文=髙橋 剛)

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