命ある限り繰り返される出会いと別れ


 出会いには喜びと驚きが、別れには寂しさと切なさが伴う。
 
 竜の巫女となった主人公は、蛟と出会い、竜へと育てて別れる。
 
 竜は、民にとって救いの神なので、別れには祈りや願いも込められる。

 主人公には複雑な想いがそこにあるのが想像できる。

 短い話の中には描かれていない主人公の気持ちが叙情的な描写の合間から感じられた。

 そして……

『「おかえり、私の美しき青シェンメイ」

 ―――今年もまた、蛟竜送りが始まる。』

 この最後の一文で、主人公が竜の巫女である間ずっと繰り返し感じる……複雑な、でも温かい気持ちが伝わり、優しい気持ちで主人公を見送ることができる。

 そんな温かい作品でした。