戦前レトロ作家、迷宮を探索す

「――東京市地下ニ大迷宮出現セリ」
現代から見れば『文豪』と呼ばれるであろう昭和初期の時代の作家先生が、東京の地下に突如出現したRPGなどによくある『ダンジョン』を探索する、紀行文形式の作品です。
当時の作家を意識した文体を用いて西洋ファンタジー風のダンジョンを潜る様は、現代との文化のギャップもありとても面白くてクスリと笑えます。
レザーアーマーに身を包んだ作家先生がダンジョンを探索し、ファイアーボールなんかが飛び交う中ゴブリンを相手どる! ……そんな話を編集につつかれながら原稿を書き上げる様子が浮かんでくる、とても斬新且つ親しみやすいお話になっています。
昭和初期を意識した文体ということで古い漢字表現などはあるものの、Web用に読みやすく開かれた文章に配慮が行き届いた振り仮名と、読みにくさは感じません。
この時代特有のロマンや、ダンジョン探索といった題材が好きな人にオススメしたい作品です。

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