私がこの作品を覗いたのは、ある方のレビューを目撃したからです。
曰く、
「ルビが面白すぎて、大爆笑しました」
このようなコメントは今までにも目にしてきましたし、過度な期待はしていませんでした。
しかし見てみると……爆笑しました。
まずはルビだけで大笑いし、改めて読んだ本文でもニヤケが止まりませんでした!
作品は、3~4話を1つのエピソードとして、その繰り返しで構成されています。
基本的に、同じ展開が繰り返される構成は悪手とされていますね。
何故ならソレは読者の展開予想を容易にさせ、飽きられやすいからです。
しかしこの作品は、そういった「マンネリ感」を微妙に、それでいて見事に逸らしています。
文章も丁寧且つ綺麗で、表現描写も申し分なし。
更には最近のストーリー構成で人気が高い「ストレスフリー」もしっかり押さえており、書籍化されるのも頷ける作品でした!
具体的な内容は読んで知るべし!
まずは第1のエピソードまで読んでみては如何?
きっと読み止まらない事受け合いです!
最近の私
→仕事を終えて深夜2時に帰宅
→部屋があったまるまでなんか読もう
→Twitterで書籍化のニュースを見かけていた本作へ着地
→2:30くらいには大笑いしたままAmazonで書籍版をポチ
→翌日の昼過ぎに本が届く(Amazonの人すごい!)
→一晩で読破! 笑いすぎてお腹が筋肉痛
→カクヨムで第二部を読み漁っている(今ココ!!)
ややや、ほんとマトモなレビューでなくて申し訳ないのですが、
コメディというジャンルを侮っていました。素直に焼き土下座。
ここまで笑わせてもらえて、
しかも小説として読ませる力を持っていて、
芸術の域だと思います。
書籍版の2作目はまだでしょうか!という気持ちです。
そして書籍版とカクヨム版を見比べて、
加筆修正されてるところを探すのもまた楽しいです。
更新楽しみにお待ちしております!
昨今のラノベの多様化に伴い一口にラノベて言っても様々な物語が日夜産声を上げている。
このトンデモナイ作品を読んだ時、僕は小学生の時に読んだ極道君漫遊記を思い出した。
まさか知らない人はいないだろう。
え⁉️知らない‼️
まさか…。
確かにかなり古い文献だから知らないのも致し方ないか。
何にせよ、これ程の衝撃を受けたラノベは久しぶりだ。
基本的に天丼なのだけれど、そのベーシックな所に乗せて上手に読者の期待感をそそる。
読み手は期待通りでも、期待を裏切られても吹いてしまうと言う、言うならば吹きのスパイラルに陥ってしまう。
だけどそれが気持ちいいのだよ。
はっ!
なんで俺レビューなんか書いてんだ⁉️
そんな事より続き読まないと。
え?
まだ読んでない❔
お前人生半分損してるぜ。
ツイッターを眺めていると時々目に入るヴァルアリス様の文字。少し騒がしいなと思い騒いでいる奴のプロフィールを覗いてみればどうやら書籍化が決まったらしいが、私が一方的にフォローしている作家陣は次々と書籍化を決めており(書籍化も今やなんの看板にもならないな……)などと思いながら鼻で笑う。しかし作品を見ずに貶すことは私の流儀に反するので、まず1話目に手を掛ける。言ってしまえばありきたりな魔界描写だが、魔法などにギャグチックなルビを振ることで読者に作品のスタンスを理解させるのはまあまあな手腕である。だが、書籍化するにはいささか押しが弱いのではないか……。と考えながら次の話を読む。気付くと私は3話を読んでいた。一度も思考を巡らせることも許されずに、3話へと進まされていたのだ。恐るべきはその軽快なテンポ。1話でキャラの格をしっかり上げたヴァルアリスが初の人界の料理に驚き格を地に叩きつけるその滑稽さは、マスクが無ければ私を電車の中で一人ニヤつく危険人物にしてしまうだけの威力を持っていた。だがそのギャグ描写もこの作品の魅力の内の一つに過ぎないのだ。メンチカツの熱さを処理し終えたところから始まる食事の描写。これこそがこの小説の核であり最強の矛。小難しい言葉をここぞとばかりに使う凡百の食レポなどとは比べものにならない丁寧かつ分かりやすい食感と味の深みの描写は大変読みやすく、その光景を脳裏に完璧に浮かび上がらせさも口の中にメンチカツがあるかと錯覚させる。夕飯を食べる前でなかったとしても誰もがメンチカツを食べたいと思う、そう確信できる素晴らしいものだった。作中の料理と同じように濃過ぎずしかし読者を掴んで離さないサクサクとした文体の妙に、とりあえず5話くらい読んでみるかと思っていた私はヴァルアリス様の如く手を止めることを忘れただひたすら貪るように画面をスクロールしていた。このレビューを書いているのも実は勢い余って最新話まで読み終わったあとである。長々と書いてしまったが、この作品は間違いない、いずれ天下を取るべき小説だ。
人間界を滅ぼす大義名分を得るべく日本にやってきた魔界の王族ヴァルアリスが、毎回その料理の美味さに打ちのめされて帰っていく……。
言ってしまえばそれだけの話なのですが、驚嘆すべきはその熱量!
人間の文明などたいしたことないと高をくくるヴァルアリスだが、彼女を待ち受けるのはこだわりが行き過ぎて、狂気の域に足を踏みこんだ料理人たち。
ヴァルアリスが美味しくないと思った瞬間、人類の滅亡は確定。だが彼らの提供する料理は常にヴァルアリスの想像を超えて、強烈な美味を彼女に叩きつける。
本作に登場する料理は、ラーメンやカレー、寿司など誰もが一度は食べたことのあるものばかり。だからこそその美味さがシンプルに読者に伝わってくるし、そしてやたらテンションの高いナレーションが話を盛り上げまくるからたまらない。
一品の料理を題材にして、客と料理人が互いの想像のさらに上を行こうとしのぎを削る。そう、これは至高のグルメ小説にして究極のバトル小説なのだ……!
いや、戦いの結果はタイトルの時点で明らかなんですけどね……。
(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=柿崎 憲)