最終話 友人との別れ、その後の私
地元に帰ってからは嘘の様に元気になった。
母も叔母も「やっぱり疲れよ」と言って慰めてくれる。
結局原因はわからないまま、私の精神的なものだという事で周りは納得していた。
しかし、私の体調不良は完治したが友人の性格の変化はあの家を離れても治る事はなかった。
最後にあったのはもう何年前か・・・。
地元に帰った後に一度食事をしたが、その時の様子はおかしいの一言だった。
今までと変らず趣味や好きな番組の話をするかと思えば急に脈略の無い話に飛ぶ。
本人は至ってはまともに話しているつもりなのだろうが、聴いている周りの人間からしたら明らかに話が繋がらない。
共通の友人からも言動のおかしさを指摘されたが、その事に言及しようとするとわめき散らして手に負えずと友人関係は次々壊れていった。
「アパートの階段をさ、上ったり下りたりする奴がおるんよ。毎日毎晩、カンカンカンカン・・・」
これが別れ際に私に投げかけられた言葉だった。
その後友人は住んでいたアパートの他の住民を脅して追い出したり、誰にも覚えの無いクレームを入れたり、部屋の窓から鉄アレイを投げたりしてアパートから追い出され今では何処にいるのかもわからない。
私達はこの変りようには本当に驚いた。
温厚と言った言葉が最も似合うであろう友人が一体どうしてこうなったのか。
ホラーではよくあるような展開だが、目の当たりにすると人の精神構造の複雑さに怯えるばかりだ。
例の一軒家を紹介してくれた不動産屋も潰れ、今では誰が管理しているのか、誰が住んでいるのかもわからない。
面白半分に家の前に行った他の友人曰く、特に誰か住んでいるようではなかったと。
結局私の体調不良と友人の豹変はあの家が関係していたのか、それさえもわからない。
今は身体に異常もなく、毎日を過ごせている。
仕事にも支障なく、健康というものの大切さを痛感している。
これが私が体験した、わからないことばかりが残った不気味でつまらない話。
ありふれた田舎の一軒家には・・・ @suika0407
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