どこかよそよそしいご近所の住人、謎のお札。そして、謎の体調不良に襲われた筆者様と、精神に不調を来たすようになった同居人。何と何が因果を持ってこういう現象が起こったのかは図りかねますが、友人の最後の言葉は何事かがあった、そしてなおそれが続いているということを示唆していて不気味です。わからないことばかりが残って、アルベール・カミュ流の「不条理」とでもいうべき体験談ですが、だからこそ恐さが倍増しています。
特に幽霊が出たり大量殺人が起こったりと言う事でもなく、ただ日常の中で何が原因かわからないけどおかしなことが起こった、というテイストはちょっと物足りない反面想像しやすく身近に感じますね。小説、と言うよりは体験記と言うべきでしょうか。私はこういうテイストは結構好きですが、もう少し文章量が欲しいと思いました。