第4話 一人暮らしの終わり

友人が地元に帰ってから2ヵ月後、またしても体調に違和感を感じた。

以前は決して動けないほどではなかったが、今回は微熱が続き身体のだるさを常に感じている。


結局有給は使い果たし、最終的には欠勤するようになる。

そんな事が半月続いたところで、ある日、店長と本部長が尋ねてきて呆気なく仕事を失った。


体調不良はその後も続き、理由もわからないまま過ごしていた。

数日して病院に行くも精神的なものだろうという結論しか出してくれず、地元の大きな病院にかかっても異常なし、精神的なものではないかと同じことを言われてしまった。

このままでは貯蓄も使い潰してしまうと考えた私は親に助けを求め地元に帰ることにした。

引越し作業は全て母と兄、弟と叔母が終わらせてくれた。

その間に私は不動産屋に解約の申し出をするために薬を飲んで車で出かけた。


不動産屋の女性は事情を聞くとすぐに手続きをしてくれた。

大家も違約金はいらないと非常に親身になって譲歩してくれた。

全ての支払いを終え、帰り際不動産屋に家の事について尋ねる。

御札の事、近所の事、何かあった家なのかどうか。


けれど返ってきた答えは実に期待はずれだった。


「元々は知り合いの不動産屋から引き継いだものでそれまでの事はわからない」


もう何も聞く気にはなれなかった。

聞いたとてそんな非科学的で根拠も何もない話を信じる人間は多くない。

ただお礼を言って母と叔母を乗せ地元に帰った。


これが半年にも満たない一人暮らしのつまらない終わりだった。

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