メタフィクションとは、小説について考える小説。つまり、重層構造の作品。

一言で言うと、作者自身が楽しんで書いた作品、だと思う。

メタフィクションの設定は中々思い付けないアイデアだと思う。冒涜から、そう言う展開だが、設定の妙には膝を打った。

読んでいて感じたが、メタフィクションの設定は興味深いが、現実と作中を行ったり来たりするので、没頭しずらくなる難点を抱えている。本作品はコントつぽく仕上げる事で、その難点が目立たないよう工夫している。

そう言えば、40年ほど前のハリウッド映画で、ネバーエンディング・ストーリーなる、主人公が読者として絵本の世界に没頭する作品が上映された。映像時間の大半は絵本の中の物語なのだが、読者である主人公が感激すると、映画の場面も現実に戻る。映画の視聴者にとっては非常にストレスの溜まる映画だった。でも、当時の特撮としては映像美が秀逸で、パート2まで制作された。

話が脇道に逸れたが、そんな構造的困難を如何なる方法で克服しようと試みたか、それを確認するのも、本作品を読む醍醐味だろう。

星の数は、偶々直前に読んだ作品が凄かったので、相対的に3つ付ける気にならなかったのが真相。本作品にとっては不運としか言いようが無い。

その他のおすすめレビュー

時織拓未さんの他のおすすめレビュー556