彼女が紡ぐ穴だらけの設定と物語。なのに嘘だと言い切れなくなる物語の力

虚言癖のあった友人アーニャが行方不明になった。
「トラックに跳ねられて異世界に転生した」とのLINEでの連絡。
嘘だと思って呆れていたが、彼女の物語は止まらない。
そこから始まる夢のようなアーニャの物語(アーニャサーガ)と、
その周りで盛り上がる現実世界の話。

アーニャの話はあまりにも設定含めて穴だらけなのに、
物語が進むにつれ、嘘だと断言できなくなっていきます。

読者であり語り部の「私」とシンクロするみたいに、
読者である私もまたアーニャの物語に吸い込まれていきました。
「私」と一緒にアーニャに呆れたりツッコんだりしつつ、気付けば彼女から目を離せなくなる。
ここまで感情移入できる語り部はなかなかいない…!

夢の世界でしか生きていられなさそうなアーニャ。
幸せだと言うけれど、羨ましいとは思えない。

彼女は何処にいったのか。
読んでぜひ確かめてみてください。
とても面白かったです。

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