やはり生きている人間が一番怖いもので。祓ったところでまたつきまとってきそうで怖い……。
優しい看護師さんへの依存心。こうなってしまうのも分かる気がします。非常に霊感の強い知人から私が言われた事なのですが、例えば成仏できないでいる霊などは、心優しい人に近寄って来てはちょっかいを出す事が多いのだそうです。雰囲気などで分かるものなんですかねぇ。それが生きて顔を合わせているとなれば、尚更かもしれません。その強い想いが時として無意識のうちに相手を苦しめている……。そんな事ってあるのではないでしょうか?そんなお話でした。
怪談話も数あれど、死んだ人ばかりが出てくるとは限りませんよね。生きた人にも想いがあり、感情があります。そんなことを考えさせられる話でした。
怖い話には、人間の嫌な面が晒されがちですが、この作品は可笑しさと哀しさが滲み、味わい深いです。うちの嫁さんも看護師長くやってるんで、この手の話は割と聞くんですが、会話と性格描写が絶妙で、良いですね、この話。
実体験に基づく病院で起こった怪奇現象。短編で読みやすく、ほどよく怖い。と思いきや、ラストで驚かされる。甲斐ミサキさんの面白怖い小説です。
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