美しく哀しく唄うは、残酷な現実を生き抜く鼓動の音

綿密に作り込まれた世界観、華麗なる戦闘描写、個性溢れるキャラクター達……どれを取っても最高の作品です!

SFジャンルを読み慣れていない私でも作者様の素晴らしい筆力のおかげですんなりと物語の世界に入り込むことができ、いつのまにか夢中になって続きを貪欲に欲し、どっぷりと作品の魅力に取り憑かれてしまいました。

この吸引力は、まさに沼。

まず、ヒロインのキッカが素敵すぎる!
麗しい外見はもちろん、アクションシーンでは映画さながらの躍動感に満ちた動きで魅せ、それでいて心には大きな隙間があり、更には見た目を裏切る大食漢……ともう、格好良い可愛い美しいの三拍子が見事に揃ってます。

強いばかりでなく、時に弱さを見せるところに彼女の寂しさ、そして女を感じさせ、私まで何度もドキリとさせられました。

彼女だけでなく、同僚のソウマの最強なるツンデレっぷり、協力者となるミズコシの場を和ませる明るさ、ユナのいじらしさ、マスターの優しさなどなど、登場人物それぞれに様々な魅力が詰まっております。

また『もう一つの物語』である主人公・クオンとハルカ。
彼らの愛は切ないまでに美しく優しく、物語全体に漂う陰惨で血生臭い空気の中にあるからこそ、香り立つように際立ちます。

思わぬ展開の連続に、目を背けたくなるシーンも多々ありますが、それでも見ずにはいられない。読まずにはいられない!

最後に彼らの心が唄うものは何か、是非とも読んで確かめていただきたい。

その響きに胸を打たれること間違いなしの名作です!!

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