つぶやきが呼んだもの

作者 黒道蟲太郎

218

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★★★ Excellent!!!

読み進めていくうちにジワリと広がっていく恐怖。
現代ならではの話だと思いました。

小さな事が、試みが積み重なって大きく膨らんでいき、結果として恐怖を呼び込んでしまうと言う過程がリアル過ぎてありえそうで、背筋が冷たくなります。

★★★ Excellent!!!

古くは口裂け女やトイレの花子さん、赤マント。
最近の例でいれば、八尺様やくねくね。
海外のブラッディ―メアリーや、THIS MAN。

地方の一部地域で生まれた者が全国的に広がり、同様の存在の目撃例が続き、創作のおもちゃになるほどメジャーになった都市伝説はいくつでも存在する。


集合無意識や阿頼耶識など、生きた人間の精神はつながっているとする主張は(真偽はともかく)古くから存在しているが、それらの存在を実感するような話であった。

あるいは「お化けの話をするとお化けがやってくる」と言う話も聞く。

そして、人間の負の感情は伝染しやすい。
これについては恐怖が広がり、似たような話を聞いた人の話が合わさり、その大元に現れたのだろう。

今はだれでも気楽に色々な話を様々な媒体に発表できる時代だ。
話自体はもちろん背筋が凍る。それ以上に我々の誰もが『ワオ』を生み出す可能性がある。
それが何よりも恐ろしい。

★★★ Excellent!!!

それは、弟のちょっとした思いつきから始まったことだった。

家の近所にある何の変哲も無い竹やぶ。
そこで心霊写真が撮れた、不可解な写真が撮れた。
そんな呟きを毎日続けた結果……辿り着いたのは身も凍る結末だった。

言霊といものは、本当に存在するのでしょうか。

★★★ Excellent!!!

都市伝説というものは嘘や作り話、または全く関係の無い話に尾鰭がついて広まって行くものですが、このお話の場合はそれでは到底説明のつかない事です。
虚構を信じ込む人があまりにも増えてしまったが為に、それが現実のものになってしまったというケース。
例えば鶴屋南北の『東海道四谷怪談』などが、その一例と言えるでしょう。
あのお話のモデルとなったお岩さん夫婦は、実際には仲の良い夫婦であんなおどろおどろしいエピソードなど無かったと言います。
しかしながら『東海道四谷怪談』が人気を博し、それがさも実話であったかのように広まってしまった事で、それに纏わる実際の怪奇現象まで発生するようになってしまった。
このお話は、その類いであるのかもしれません。
人の死や不吉な曰くなどといった明確な原因が無いだけに、余計に怖いですね。

★★★ Excellent!!!

うわさ・都市伝説は、ひと昔前ならば、口頭伝承のみだった。口伝えは、新聞や雑誌など紙媒体や、テレビに取り上げられることがなければ、拡散もされなかったし、残ることもなかった。
いまは違う。発信の段階から、発信者が文字で残せるし、拡散もできる。

ツイッターにつぶやいて衆目を集め、他者の「ワオ」を信じる念を利用して、降霊術を行う。
おもしろい試みだと思う。怪談としてだけではなく、実験として、興味深い。
さくらが数人いて、写真に姿が見えると騒げば、念は増大し、もっと濃密な気配が竹藪に生まれたのではないか(もっと怖い経験になったのではないか)と考えるにつけ、都市伝説好きとして、「惜しい」という気持ちが、しかしながら、少々残る。

★★★ Excellent!!!

口伝のみであったものから、ネットワークでの拡散という最も新しい形態に様変わりしても、言霊というのは変わらず力を持っているものなのですね。
もとは形のなかったものが、言葉の力によって次第に輪郭を帯びてゆく恐怖。人の根底に訴えかけてくるような、和製ホラーの原点を感じました。ホラーものとしてだけではなく、民俗学的な観点から見ても、とても興味深いお話でした。

★★★ Excellent!!!

たくさんの人の思いが集まるのか、
ひとりの思いが強まるのか、
それとも何もなかったのか、
完璧に確かめる術はないけれど、

今でも、ワオはどこかにいて、ひっそりと呼び出されるのを待っている。
隣にある恐怖と対峙する、奇妙で不可思議なエピソード。

★★★ Excellent!!!

日々SNSを利用していますが、身近起こりそうな……というより、もう起こっていてもおかしくないという、リアルな恐怖を覚えました。


『ワオ』とはまた別物だと思うのですが、私も幼い頃似たようなものについて祖母に聞いた覚えがあります。
同じ濁点二文字で、ドドだったかギギだったかボボだったか……よく思い出せませんが、早く寝ないとそれが来ると脅されると慌てて布団に潜り込んだものです。
また私が何度か見たソレは、作中で描写されている『ワオ』とは姿形が異なっておりました。


私達の想像力は『何か』を呼ぶだけでなく、それに力を与え、より強大で恐ろしいものに作り上げてしまうのかもしれません。


うまくまとまらず、取り留めのないレビューになってしまい、失礼しました。

★★★ Excellent!!!

名前を得て、形を現したワオ。

このTwitterの実験はリアルタイムでは存じませんでしたが、臨場感のある文章に飲み込まれ、まるで最初から立ち会っていたような感覚になりました。

こうして作者様が怪談として完成させたことで、ワオにも変化があるような気がします。
実験は終わりましたが、ワオは進化しているはずです。

★★★ Excellent!!!

私は、ツイッターも、ましてやラインすらしていません。
業務で仕方なく持たされているガラケーを使う程度で十分な生活を送っています。

そんな私からすれば。
そういった意思疎通の手段・方法さえ、まるで意味不明の魔法のように思います。

そこで、送り続けられる言葉。

「ワオがいる」。

私にはまるで呪文です。ツイッターで共有された意識を刺激する、それはきっと、呪文なのです。

ワオは。
そこに存在するのです。

★★★ Excellent!!!

この作中で語られている黒道氏の弟さんによる壮大な実験については、自分もリアルタイムで見たこともありました。
曰くだけがある竹藪、興味本位だけの心霊写真もどき、ワオというどこにもいない存在。
それが『バズった』時、形となっていくさまが実にリアルで恐ろしい。
何かを見たという人々が現れ、そしてその無であったはずの『ワオ』さえも、既知のものであったかのようになっていく。
心霊的恐怖と現代の利器の結びつきが生み落とした、まさにネット時代の怪談といえるのではないでしょうか。

★★★ Excellent!!!

この話、発端を見ていたので感慨深いんです。
途中でコメントを送ってきた方は、どういうつもりだったんでしょうね。
私、思うんです。その人が送ってきた一言でワオが黒道さんにとって既知のものから未知のものに変わったんじゃないかって。それで、制御できる面白いものから、未知の怖いものになったんじゃないかって。
呪いですよね。それって。
あと、これで。沢山の人に知られてしまいましたね、ワオ。
何が起こるんでしょうね。