無声映画を聴きながら

作者 淡島かりす

そして映画と人生は続く

  • ★★★ Excellent!!!

「一瞬の煌めきを切り取った」という表現を使われることは多いもの。それは食レポにおけるレトロな店の料理を「どこか懐かしい味」と書いてしまうほどに、安直に出てくる表現でもあります。でもこの作品は人のいない映画館という、映画好きならワクワクしてしまう状況に甘えず、光の向きと当たり方をうまく利用して閉鎖空間の淫靡さと、自分と別の客体とを行きつ戻りつする少年に向ける主人公の視線を導いてくれます。
 どう見ても苦しい状況にある少年が見せる、自分ならざるものに一時変化する色気。それを共有する、共犯者の主人公。この先も続いていく少年の貧しき人生、という連続したフィルムと、切り出した美しいスチール写真。その色合いの変化も美しい一本。

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