走り抜けるように……

言葉が出ない。読み終わって今、僕は脱力感に浸りながらレビューを書いている。

もう一度言おう、言葉が出ない。

走り抜けた。走って、走って、走り抜けていた。
彼らの青春……いや、ここでは夏と表現した方が正しいか。
紡ぐ言葉一つ一つに透明な色付きガラスのような淡い色が色づいて、彼らの夏を鮮明に、過激に見せてくれる。そのことに目をそらしたとしても。

匂いが張り付いていた。音がこべりついてきた。
森林に蔓延する、むせるほどの土の匂い。張り付いてきた。
それすらも構わず、走り抜ける、彼の心臓の拍動が。こべりついてきた。

できることなら、最後まで見守りたい。それがたとえ最悪でも。

これは彼らの夏だ、17度目の夏だ。
彼らの欠けた何かを探す、夏だ。

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