気づけば引き込まれる、独特の世界観。味わいの濃い短編。

暑さ、もどかしさ、苛立ち…情けなさ。
そして、やっと辿り着いた冷たさ、甘さ。…そして、甘さの中の懐かしさ。

暑くて、コンビニへアイスを買いに行き、部屋へ戻って来て、アイスを食べた。
——ただ、それだけなのに。

普段触れていながら無意識に流し去っている様々な感情が、この短い作品の中にぎゅうっと詰められ、具に観察され、不思議な味わいを持ってしっくりと収まっています。

読み終わった後の、不思議な満足感…これは、本作を読んでみなければわからない、なんとも不思議な感覚です。

気づけばぐいぐいと引き込まれる、独特な世界観。そんな、深く魅力的な味わいの短編です。

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