不安定に揺れ、しかし確かなものを胸に抱く女の子の「人生」の一部

大人と子供という微妙な狭間を揺蕩い、その時だからこそ得られた『何か』を思い出させてくれるエッセイです。

取り留めなく描かれた、一人の女の子の日常。

しかし本音を素直に吐露する奥底に、何物にも曲げられない彼女だけの芯が輝いています。

ちょっとしたことを深く考えては落ち込んだり、楽しんだり、苦しんだり、喜んだり…………散りばめられているのは、彼女を作る人生の欠片。

そんな大事なものに私が触れていいのかな? 覗き見してもいいのかな? と実はドキドキしながら読み進めておりました。

日記帳を恐る恐る開く、何ともいえない背徳感。彼女がリアルで感じているであろう思いを共有する高揚感。

かつては彼女と同じ『少女以上、女性未満』だった頃を思い出しては共感し、彼女が喜べば私も笑顔になり、憂鬱に沈めば私も悄気て……と、一話ずつ大切に読ませていただきました。

二度と戻らぬ毎日を、この瞬間瞬間を、心に留めて愛おしんで生きていこうと思える、素敵なエッセイです。

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