第3話 求めるアイツと求められたくないアタシ

 普段なら、涙さえ左頬の傷に染みるのに、今は痛みを感じなかった。

 感情の波が去るまでシャワーを浴びて、洗面台の鏡の前に目に立つ。

 少しでも、傷が小さくなってないかなんて期待したけど、鏡が映し出したのは貧相な体と、相変わらずの傷顔だけだった。


「遅いわね不良娘」


 洗面所のドアを無遠慮に開けて入ってきたのは、随分と疲れた顔をしたママだった。


「そもそも帰って来ないアンタに言われたくねーわ……臭っさ! アタシの制服返せよ!」


 毎日着ているなとは思ったけど、洗濯すらしていなかったとは。


「これ一号小さいけど着られるの? 無理して着てたでしょ?」


 アタシの拳が空を切った。ママは相変わらず素早い。


「誰だテメェ!? ママに憑依した化け物だろ!」


「大丈夫。憑かれてないわ。娘よりスレンダーなママよ」


 アタシの拳が再び空を切る。この素早さは確かにアタシのママだ。


「そんな事より、服を着なさい」


「そりゃ着るけど……え?」


 部屋着にしている厚手のTシャツに首を通した瞬間、ママとアタシを取り巻く世界は変わっていた。


 この暗い空間は覚えがある。毎日経験している。例の『お迎え』がやって来る空間だ。でも、どうして眠ってもいないのに。


「はぁ、もたもたしてるから来ちゃったじゃないの」


『あんな、あんな』


 お迎えの声だ。


「ついに強硬手段に出たわねこいつ」


 この人は本当にアタシのママなのだろうか。

 霊に接する時でも、どんな時でもこんなに冷たい目をしていた事はなかったのに。


「ここを動かないで。さぁ、来なさい! 安奈はアタシよ!」

「は!? 何言ってんの!?」

「静かにしてなさい!」


 やはりママは狂ってしまったらしい。

 五十歳がセーラー服着れば十九歳を気取れると思っているのだろうか。


『あんな、あんな』


 声の主が姿を現した。大きいなんてものじゃない。この空間はこの怨霊が醸し出している瘴気だったのか。防壁の外から、大声でアタシを呼んでいたんだ。


「あれ……『お迎え』じゃなくて、怨霊!?」


「そうよ。私はあなたにアレを近づけないようにしていたのよ」

「はぁ!? 他の連中はどこだよ!? あんなの一流クラスの祓い師が束でかからないと無理だろうが! なんでママ一人で!?」


「誰もみすみす食われたいとは思わないわ」

「そ、そりゃそうだけど……!」


「それに、あれの目的はあなたへの恨みなの。だから私が安奈を演じてたのよ。ここ最近はあいつの声は聞こえなかったでしょう?」

「へ……? 普通に聞こえてたけど?」

「安奈、冗談を言っている時ではないわ。一週間前からあいつの気は私が惹いてたのよ」

「だから聞こえてたって!」

「そんなはずないでしょう! アタシがあなたの匂いがたっぷりついた制服着て態度振る舞いもあなたらしくしてたのに!」

「いやだからその作戦滑ってたって事だろ!」

「嘘吐きなさい!」

「ならアイツに一度でも襲われた事あるのか!?」

「無いから何よ!」

「何よってなんだよ!? いい加減失敗を認めろよババア!」

「親に向かってなんて口の利き方してんの!?」

「オメーは娘をなんだと思ってんだよ!? アタシがいつ霊の類いをぶん殴って罵ってツバ吐いた!?」

「古風な不良気取ってんだからそれくらいしそうでしょ!?」

「アタシが古風だと!?」


『あんな……あんな』


 まずい、どんどん近付いて来る。

 光が爆ぜた。


「防壁にぶつかったわね」

「あんなでかいの結界でもないと無理だろ!」


 ママの防壁も一級品ではあるけど、ただの通せんぼするだけの防壁と違って、結界は力の源となる人や物を中央で力を一定の場所内に満たし続ける事で守る。

 それは専門の一族にしか出来ない芸当だ。


「そもそもなんでアタシを狙ってんだよあいつは?」


「あなたへの恨みよ」


「は、はぁ?」


 恨まれる覚えなんてまるで無い。心当たりがあるとすれば顔と両手の傷だけど、恨むのはアタシの方だ。


「あれ、あなたのおばあちゃんよ。挨拶なさい」

「はぁ!?」


 おばあちゃんはアタシが生まれてすぐに死んだって、ああ、確かに死んでる。


『あんな……かえせ! としのかみひこを、かえせ!』


 何言ってるの婆さん。死んでからアイドルファンになるとかねえわ。


『におう……としのかみひこのにおいがする……そうか、めおとになったかきさまら! にくいぞ! あんな!』


「ママ、ばーさんがママよりイカれたこと言ってんだけど?」


 なんでアタシがチャラいアイドルと結婚しなきゃならんのだ。


「アタシがいつボケた!? 公園で膝枕して路チューしてたのはあんたでしょうが! そうやってトシの匂いべったり付けたからあいつが絡んで来たんでしょ!」


「言葉古っ! アタシがいつそんなことし……たァ!? なんで知ってんだよ!?」


「見てたから。夜の公園でチュッチュしてて可愛いんだぁ!」


 アタシの拳は相変わらず空を切った。


「あ、アタシがどんだけ苦しんでるか分んねー癖に!」

「ハァ!? あんな可愛い子に求愛されて何不幸ぶってんの!?」


「あ、アイツが誰か知ってんのか!?」


 ママが首を大きく傾げる。


「あ、あんた相手が誰か分らずにチューしたの? おばあちゃん、あなたの孫はビッチに育ってしまいました!」

「殺すぞテメェ!」

「あんたね、あれだけ力が強く発光してたとしても近くに寄れば誰か分かるでしょ? チューまでしといて!」

「ち、チュー言うな! あ、あいつは生きてた頃の姿を思い出せなくてピンボケなんだぞ!?」


 ママの顔が硬直した。

 アタシの祖母らしい怨霊は防壁にぶつかって消耗したらしく、少しだけ小さくはなったが、破られるのは時間の問題だった。


「今なんて?」

「だから、生きてた頃の姿が曖昧って!」


 ママが両手を合わせ、何かをブツブツと唱え始めた。

 野井間特有の技、呼び寄せだ。イタコの口寄せとは違い、霊を丸ごと呼び出し、必要な時は拘束も出来る術。防壁の中に霊を呼び込む気だ。


「うわぁあ!」


 突然、ピンボケ湧いて出た。


「はぁ、見事にピンボケね、慧……あなたの本当の名前、思い出しなさい」

「ま、ママ、知ってるの?」


田之大海原慧之守彦たのおおうなばらのとしのかみひこよ」


「え? その長い変なの、僕の名前?」


 次の瞬間には、ピンボケのピントがしっかりと合っていた。

 名前は幽界においては道標になり、肉体を失っても己を保つ鍵となる。


 ああ、知りたくなかった。

 アタシの大嫌いなアイドル、十七歳の天才祓い師。そりゃあ、生きてる奴なら負の気を感じないよ。

 なんだ、なんだよこの運命。


「アンタ、もしかして自分の霊体外に出してるの?」

「えと……そうみたい」


 本物の天才だ。

 千年前に忘れ去られた術を使えるなんて。


「未熟過ぎて己を見失ったのよ! 安奈を守れって言ったのになんてザマなの」


「も、申し訳ありません?」


「チューしたから許してあげるぅ!」

「殴るぞババア!」


 ママを身近に感じていたのは、師匠だからか。

 こいつがアタシに付きまとっていたのは、アタシを守ってくれていたからのか。

 こんな術の修行をして体から霊を抜いていたら、生本番をサボっていたとは。


「まあ良いわ。慧、時間を稼ぐから体を取ってきなさい」

「え?」


「え? じゃないわよ馬鹿弟子。あなたの体を取って来いっつってんの! あなたとアタシならあいつをなんとか出来るわ」


「ええと……どうすれば?」


 ママの顔が固まった。その顔何度目よ。


「ママ、アタシがこいつに手を近付ければいいんじゃねぇの?」


「それは駄目よ。慧の霊体がはじけ飛んで元に戻るまで時間がかかり過ぎるわ」


「えと、このままでもなんとか戦えるかも」


「仕方ないわね。この防壁を超えて来る頃にはあいつも並の怨霊にまで力が落ち……」


 光が弾けた。ママが鈍痛に耐えるような顔になった。何度目の想定外の出来事なのだろう。防壁が破られた。


『としのかみひこぉ! そこにおったかぁ』


 色めきだっていやがる。ここまでヤバいアイドルのおっかけは見た事がない。『やらかし』なんてレベルじゃない。


「結界屋みたいにはいかないわね」

「当たり前だろ! 元は祓い師だからなんか色々知ってんだろ!」


「そうね」


 ふぅ、と息を吐いたママの顔が変わった。

 緊張感は、着ているセーラー服のせいで半減したが。


「慧、安奈に重なりなさい。安奈の事だけを守る事に集中して。安奈、慧に手のひらで触らないように気をつけなさい」


 ママは自分を身を差し出して、アタシ達を逃がす気なんだろう。


「あの超巨大クソババアは自ら怨霊になったのよ。この世を離れたくない一心で。ババアは預言していたのよ。希有な復元の力を持った子、慧がこの世に現れるって事。慧を喰えば、この世にずっと君臨出来ると思ったんでしょうね」


 酷い。自分の祖母がそんな頭がいかれている人間だったとは思いたくなかった。


「でもね、大きな誤算があったのよ……あ、まずい」

「え!?」


 体が勝手に横に飛んだ。アタシはそんな事していないのに。

 巨大なババアが猛スピードで通過して行く。


「アンタ憑依も出来るの!?」

「それっぽい事だけなら!」


 くそ、やっぱり嫌いだ。こんな時に才能の差を見せつけられるとは。


「これは最悪の状況ね」


 また光が爆ぜた。ママがいつの間にか張っていた防壁にぶつかったらしい。


「急ごしらえだけど、あなた達二人くらい逃がせるわ」


 そんな訳にはいかない。本当に老い先短いのはアタシだ。


「ママ、ピンボケ。こいつはとりあえずアタシが目的なんだから逃げてよ!」

「何言ってるの馬鹿娘!?」


「うるさいな。どうせアタシはもう長くないんでしょ?」


「大丈夫よ、あいつからあなたの一部を奪い返せば生きられるわ。だから早くここから離れなさい」


「嘘つけ! アタシに一発ぶち込ませろ!」

「馬鹿言わないの! 本当に死ぬわよ!」


「だから何? アタシの手の力は分ってるでしょ? 触ればある程度はぶっ飛ばせるでしょ! 一応十五センチよりも先に力は飛ばせるから!」


「はぁ、駄目よ。十五センチよりも近づけるなっていうのはそういう意味ではないのよ」

「は!?」


「本当はね、十五センチと少しだけ……五寸先に力を飛ばせる祓い師なんていないからよ。あなたの手もそう。あなたに祓う事を諦めさせたかったの。例え十五センチ離れようが離れまいが、これ以上傷を負ったらもうあなたは持たないわ」


 なんだそれ。

 ちょっとだけ気分がいい。


「なら、アタシはその限界超えたんだね。もう思い残す事はないよ。十五センチより先に飛ばせるし。鉛筆倒せるだけだけどね」


「安奈さん……鉛筆を、倒したの?」

「何驚いたように言ってんのよこの程度。死ぬ前に一つ自慢が出来たわ」


 ママが細い縄をもう一本、婆さんに投げつけた。


「はぁ、分ったわ。お婆ちゃんに挨拶してきなさい……あなたの手で」

「任せて」


 良かった。分かってくれたかな。


「慧、安奈と一緒に行きなさい」


 何よ。そんな必要無いのに。


「行こう」


 足が震えて、自分から動かせなかった。どうやらアタシにも未練はあるらしい。

 気分が良いかった。足りないものが満たされくような。アタシもこいつのこと、結構気に入っているのか。

 すくんだ脚を勝手に動かされるのは、少しこそばゆいけれど。


「安奈、力を強く飛ばしなさい。思いっきりね。慧、安奈があいつに仕掛けた瞬間、安奈の手と体を守りなさい」


「はい……安奈、安心して」


 どさくさに紛れて呼び捨てか、歳下小僧。


『あんな……あんなぁ!』

「うわっ!」


 婆さんが伸ばした手を慧之守彦が弾く。


「力を入れないで! あいつに近付いた瞬間だけに集中して!」


 多分、ママが私に求めているのは、二撃。

 ママに対処出来る程のダメージを与えてやらないと。

 一撃目に弾けた破片からは、慧之守彦が守ってくれる。でも、アタシの手にも触れるから、そのままご退場だろう。二撃目で、この世からおさらばか。


「安奈、こんな時だから、聞いてもらえないかな?」

「舌噛むっての!」


 繰り出される怨霊の攻撃を避けさせられる。

 触れられたら最後、簡単に絡め取られて飲み込まれてしまう。


「また、会ってもらえるかな?」

「はぁ? アタシに怨霊になれってのか?」

「そうなっちゃったら、僕のこと食べてね」

「考えとくわ」


 異常に長い腕のようなものが襲いかかるが、慧之守彦がアタシの体を勝手に横っ飛びさせる。


「やった! 僕と付き合って下さい!」

「突然なんだよ!?」


 全く、前後の脈略がなさ過ぎるよ。

 避けた婆さんの腕が再び襲いかかる。


「僕ね、最初の記憶が安奈なんだ」

「はぁ!?」


「七年前かな? 安奈が僕を抱きしめていてくれたのが、僕の最初の記憶」

「は、はい!?」


 なんだ、目の前の事に集中出来ない。こいつは一体何者なんだ。アタシが抱きしめたって、どういう事だ。


「そろそろあいつも疲れてきてるね」

「なら早く近づけよ!」

「返事くれてないし」

「分かった付き合う! これでいいか!?」

「ほんとに!? やった!」


 体が激しく揺さぶられた。

 最初で最後の彼氏は三流アイドルの生き霊でしたなんて、笑い話にもならない。


「えへへー、杏奈ぁ!」

「何してんだよ、早く近づけ!」

「えー。せっかく二人の記念日なのに」


 緊張感のない奴。これからアタシこと、あんたの彼女はこの世からおさらばするんだが。


「仕方ないなぁ。行くよ!」


 ついに、この瞬間が来た。

 化け物に肉薄する。

 力を抜いて、呼吸も静かに。目の前の鉛筆を倒す感覚。

 婆さんに、手が触れた。


『あん……な……!』



 それは小さな力と思っていたのに。


 婆さんも、この空間も、全てが光っていた。


 慧之守彦に両手を包まれた気がしたが、それも光の中に飲み込まれて消えた。



「何……これ?」


 思い出した。全部。

 そうだ、この婆さんだった化け物から、アタシが、引っ張り出したんだ。

 飲まれていく男の子を。


 自分の手が激しく焼けていく事も、大きな口に顔を噛みつかれた事も。でもこの化け物に、この子を絶対に渡さないって思ったんだ。


 ばあさんの誤算。それはアタシみたいな奴が産まれたこと。


「物質を動かす程力を強く出せる祓い師なんて聞いたことがないわ。ここまで全てぶっ飛ばすとは思わなかったけど」


 いつの間にか、真っ白い空間から洗面所に戻っていた。

 制服ママは床にへたり込んでいた。


「ママ、臭いから制服脱いでよ。背中流してあげるからさ」

「……それは明日にして、もう寝なさい」


「大丈夫。なんだか急に元気が出てきたから」


 本当だった。少しずつ、自分の体が再構築されていくような。

 顔と両手は相変わらず醜いままだけど。


「婆さんに喰われた部分が戻ってきたのね」


「ほら脱いで。洗濯する前に漬けるから。ママ、これからそのスタイルで祓い師やるの?」


「そうね。野井間を名乗るのは辞めるわ。娘も守れない自己満足な祓い師は卒業よ」


 少し残念だけど、服を脱いだママの体の傷を見ると、そうもいえなかった。


 そうだ。アタシがずっと十五センチ以上先へ力を届かせたかった理由。それは未練ではなくて、降り注ぐ攻撃からママを守りたかったからだ。


 ママが自らこれ以上傷を負わないように、言葉だけでなく、力でも戦うと決断してくれたのに、少し複雑な気分が拭えない。ママはアタシが守りたいのに。


「うん。頑張るわね。セーラー服祓い師!」

「それはやめろよ!!」


「大声出さない。本当に元気になって良かった。まだ一部しか力として消費されていなかったのよ。傷は彼氏に治してもらいなさい」


「はぁ?」


「はぁ? って何よ。パパの次くらいカッコイイ子ゲットしたじゃないの」


「突然のろけんな。歳下は趣味じゃねえよ……何笑ってんだよ?」


「そんな事言っていられるのも、今のうちよ」


 ママの言葉は、すぐに思い知る事になった。

 極めて、遺憾ながら。




「安奈。どうしてライブ来てくれないのさ」

「下手な歌聞きたくねーし」


 いつもの児童公園。どうしてアタシはこいつに絡まれ続けているんだか。


「そもそもテメーはそのライブ中だろ。なんでここに居るんだよ!?」


 くそ、霊体化の術に磨きかけてストーキングして来るとは思わなかった。


「傷を治すためかな」

「本番前に体力使うなよ」

「んーん。安奈に癒されてる」

「歌の練習しろ」

「どうせ上手くならないよ」


 全く。悔しいがこいつの言いなりだ。

 頬に添えられたこいつの手は、確かにアタシの傷を小さくしている。少しずつだけど、確実に。

 十年くらいはかかりそうなペースだけど。


「ねぇ、来週の地方ライブは来てくれるんだよね?」


「……アタシにとっては仕事だよ」


 結局、一つだけコイツに押し負けた事がある。

 並の祓い師では手を焼く巨大な怨霊を祓うために、協力するって事だ。コイツはコンビを組むって表現を使ってるけど、そんな強固な絆を結んだ覚えはない。

 まぁ、仕方ないか。アタシの一番強い攻撃は十五センチよりも近くに手を近寄せなくてはならないし、的に当てた瞬間、慧に捨て身で手を保護してもらわなきゃならない。

 少し癪に障るけど、アタシが我慢した分、誰かを救えるなら。


「ホテル一緒の部屋取っておいたからね。ダブルベッドで!」


「お前は床な」

「やった! 一緒の部屋だ!」


 はぁ、ポジティブ過ぎるぞこいつ。

 本当に受け入れて良いのかな。その結論が、まだ見えない。


「安奈」


 気付けば目の前に、慧の顔があった。甘ったれた顔で唇を突き出して。

 しかし、その体は逃げるように消え去った。

 アタシが手で触ろうとしたからだ。


『ひどいよ安奈!』


 捨て台詞が聞こえた。


「ちゃんと仕事したら考えてやるっての」


『ほんと!? やった!』


 無邪気な奴。

 公園の時計台は、まだ開演時間に間に合いそうな時間だった。

 たまには、下手くそな歌を聴きに行ってやるか。


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アイツとアタシ(とママ)のロスト・アンド・ファウンド アイオイ アクト @jfresh

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