来世でまた逢えるのなら、今度は君と何を話そう

作者 星崎ゆうき

79

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★★★ Excellent!!!

私は「死にたい」ってよく言いますけど、それは死にたいという言葉通りの意味じゃなくて、もうこの気持ちを「死にたい」っていう言葉でしか表現できないんです。

──いつだったか、通院している精神科のカウンセリングで、私は先生にそんなことを言ったことがあります。
作中の『「死にたい」はひとつの感情だ』という一文を読んで、そんなことを思い出して、何だかすとんと落ちた気がしました。
そう、「死にたい」っていうのは、「命を断ちたい願望」というより、そういう感情なんですよね。

転校先で知り合った、周囲になじもうとしない少女・葵。
けれど、主人公の少年・亮はささいな切っかけで彼女と筆談するようになります。
葵が抱える、むごくて決して消えない傷口。
それも知った上で、亮は葵のそばにいたいと望みますが……

葵の凄惨な過去は、他者には測りかねるレベルです。
その中で、彼女の唯一の希望は「来世」。
生きていてもずっと苦しいだけ。
そんな絶望の中では、自分のすべてをリセットした世界でしか穏やかにはなれない。
それは、もろい光なのか、恐ろしい闇なのか……どちらなのか、私にも分かりません。

ただ、葵が亮に出会ったこと、忌まわしいだけの現世でたったひとつ来世に縁をつなげたい人がいたこと、それは間違いなく光だと思います。

ラストの一行の余韻も素晴らしく、とてもつらいお話なのに温かい読後感でした。

★★★ Excellent!!!

読み終わってやりきれないという気持ちになりました。
このお話ではヒロインにとっての希望と絶望への解釈が語られ、最終盤にそれに対する主人公の見解が語られます。僕はそのふたつの意見のどちらともに言い分は理解できはしたものの、結末のことを思うとやっぱりやりきれないなあと思ってしまいます。
「価値観は人それぞれ」といえば耳障りはよく、それ自体にはなんの反論もありませんが、ケースによっては、特に生死に関して価値観の配慮というのは無遠慮に行われていいものではないかもしれないと考えたりします。
ではどういう言葉をかければああならずに済んだのかといえば、その答えは誰にも分りません。なぜなら当人の価値観ですので死が怖くなくなってしまい、むしろそれが希望になってしまったのなら、どんな言葉さえも意味をもたないでしょうから。
例えばそれは自分にはない価値観をもった人と出会った際の接し方を考えるようなものでしょうか。僕は自死を望む人物の価値観をうまくは理解できません。なぜなら自死をすべきではないと思っているからです。しかしそれは当人の価値観なのですから、「価値観は人それぞれ」に則ってしまうのなら何も言うべきことはなくなってしまいます。
でも自死を選ぶことは悲しいと思う自分は確かにいる。特に親愛の友人ならなおさらでしょう。できることは死んだら自分がかなしいと訴えることしかないのだと思います。そうして自分のことに置き換えてみれば、主人公の終盤の台詞「俺は、葵がいない世界なんて悲しいよ」というのはもうそれしか言えることはなかったのではないかと思い、もっと遣る瀬無い気持ちになりました。
願わくば心にトラウマを背負っていても、現実がつらくても生きていてほしいと思うのは当事者でない者の勝手かもしれません。けど生きていてほしいと思うそれ自体もきっと人それぞれの中に含まれており、当事者でない者にとってはそれを言い… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

シリアス系青春もの。

一読してまず最初の感想が「すごく真面目な話だったな……」というもの。でもだからこそ、作品が秘めるメッセージ性がストレートに心に響いてくる、そんな内容でした。これからこの作品を読まれる方に念を押したいのが、決して流し読みなどせず一文一文を噛みしめて読んでほしい、ということです。ビターで真面目な作品だからこそ、読み手も真面目に読んでほしいと感じました。時間を作ってじっくり読むことをおすすめします。

★★★ Excellent!!!

 切なく淡い男女の恋愛未満の揺れ動く関係性を描いた作品。
 転校した主人公は、駅のホームで電車に飛び込もうとした少女を助ける。その少女は、転校先のクラスメイトで、しかも隣の席だった。ここまでは転校モノによくある展開かもしれない。しかし、この物語はここからの展開が切なく、感動的だ。
 実は少女は事件の被害者であり、この経験から声を出すことが出来ずにいた。しかも、事件のトラウマで、家族ともうまくやっていけない。その少女の悲しさ、苦しさ、悔しさが、心に刺さる。そして少女は死を願っていた。
 しかし、主人公と少女は、筆談を重ねることで、けして交わることがなかった関係性を築いていく。それは優しく、丁寧で、ゆっくりと進む、筆談であり、少女が事件以来一人で抱えてきた「言葉」の解放であった。筆談はやがて、交換日記へと進展する。
 主人公は先生からも「友達になってくれ」と頼まれていたが、例えそんな依頼がなくても二人は関係を構築していっただろう。
 この世界からいなくなりたい少女を、主人公は何とか引き留めようとする。果たして、少女は……? 少女と主人公の関係は……?
 
 是非、ご一読ください。

★★★ Excellent!!!

最終話の『来世でまた君に逢いたい』という言葉に涙腺がうるっときました。
来世とは何なのでしょうね。
来世というものが存在するならそれはあの世なのかなと感じました。
いろんな人に読んでほしい。そして考えてほしい。
ゆうきさんの作品は本当に救われます。
いい作品をありがとうございます。

★★★ Excellent!!!

ある出来事がきっかけで言葉を失ってしまった少女が、主人公との出会いで一言だけど言葉を発した、伝えたかった思いがだんだん、じんわりと読み手にも伝わってきました。
希望が入る余裕がない、生きることへの苦しみや絶望…自殺未遂を繰り返すことや「死にたい」と思う気持ちだったり、全く同じ苦しみは誰にも分からないと思いますが、主人公の、それでも一緒に歩んでいきたいという強い思いがグッときました。
「一瞬の勇気か、一生の苦しみか」の1文には考えさせられるものがありました。

★★★ Excellent!!!

ほんの1つの小さな出会い。
主人公が偶然知り合い、心を交わす仲になった1人の少女。
そして、星空に心を馳せた思い出。

長いようで短い時を経て最後に選んだ結果が本当に正しかったのか、それはもう誰にも分からないかもしれません。
でも、あの時ほんの僅かでも、彼と彼女の思いは繋がっていた――それだけは間違いない、きっとそう言い切れるでしょう。

心の琴線を使って優しい音色を奏でてくれる、切なくも美しい作品です。

★★★ Excellent!!!

私にとって、これは、つらい……。

自殺未遂を繰り返してきました。
「あなたがいないと私は悲しい」と言ってもらったこと、何度もあります。
けれど、それは私の耳に届きませんでした。
いえ、届いてはいるんです、感謝もしています。
でも、もしこの運命が違うものだったら、もっといい形で出会えただろうなって思うんです。

『来世でまた逢えるのなら、今度は君と何を話そう』

それは彼の願いのようでいて、本当は彼女の願いではないでしょうか。

そんなことを、思いながら読みました。

★★★ Excellent!!!

レビューですが、タイトルをそのまま書かせて頂きました。

色々と考えたのですが、これ以上この物語に相応しい言葉はありません。思い付きませんでした。

儚く、切ない物語でした。読了後の胸中色々な思いがグルグルしてます。
泣く、のとは何か違う形容しがたい感情です。

他の皆さんとは違うかもしれませんが、それでもあえて、私なりに表現させてもらうなら、とても素敵なお話でした。

心のあり方は本人しか分かりません。
ズレがあるから、すれ違います。

それでも、葵の書いた文字は彼女の言葉で、短くまとめるために考え、筆談する彼女を素敵だと感じます。

タイトルと同じ、物語最後の文章で指を止め、暫く画面を眺めていました。

ネタバレになってしまうので、応援コメントの方で書かせて頂きましたが、あのように思っています。
読み終え、タイトルをもう一度読み返して、彼女とまた逢えるといいな、ともそう思いました。

なんか、長くなってしまいましたね。
でも、凄く心の琴線に触れる物語でした。ありがとうございます。

★★★ Excellent!!!

ネタバレしたくて仕方がないくらいなのですが、ここは理性でぐっと止まります。

テーマが重いこともあり、しっかりと読み応えがあります。

喋るのは一瞬だけれど、書いたら相手がそれを捨てない限りずっと残りますよね。しかも交換日記は手書き。手書きの文字は、一律のフォントのメールやチャットより真に迫るものがあると思います。

★★★ Excellent!!!

心に傷を負った人に寄り添うことの難しさが伝わる気がします。「生まれてくる『なんとかしてあげたい気持ち』は、いったい誰のため?」そんな問いかけにもなっているように思います。とても読みやすくて短いお話ですが、文字数以上の物語を感じました! 彼女が語れないものはたくさんあって、ひとつひとつに実は想いがあって……。迫られる選択は、残された「最後の希望」だったのかもしれません。もし誰かがそんな心境だったなら、知っていたなら、最後まで目をそらさずに見守れるでしょうか?